マウイ島北西部の山、プウ・ククイの麓、クラシカルな雰囲気が魅力的なワイルクの町に、町中とは思えないほど静かにたたずむ木造の二階建てが、ザ・オールド・ワイルク・イン・アット・ウルポノだ。入り口には「ハワイ州歴史建造物登録済」という小さなサイン。白い壁に深い緑色の屋根や窓枠、建物を囲む植物の緑が美しく、色とりどりの花々の香りが、島の風にのって、ゲストを迎えている。

窓やドア、壁のふちの部分などに手作業で工芸的なデコレーションをほどこす、クラフトマンシップ・スタイルという1920年代の建築様式で建てられた母屋は時代を感じる

 1924年、裕福な銀行家が、結婚を控えた息子の婚約者にウエディングギフトとして建てたその建物は、現在、ベッド&ブレックファストとして世界中のゲストに愛されている。嫁いでくる娘へ贈られた、プライベートなギフトを引き継ぎ、ベッド&ブレックファストに改装したのがトム&ジャニス・フェアバンクス夫妻。トムは長年ハワイのホテル業界で責任ある立場にいるホテルマンだ。

左:1920~40年代はもともとのハワイの音楽と西欧的な音楽が混じり合ってできあがったハパ・ハオレ・ミュージックの全盛期、ハリウッドとハワイの距離が近かった時代でもある。その時期の音楽の演奏には欠かせないピアノがリビングルームの真ん中に楽譜とともに
右:リビングルームにはハワイの歴史や文化を知ることのできる本や写真集が揃っている。コーヒーや紅茶などもいつでも用意されているので、我が家のようにくつろげる

 手入れが行き届いた建物に一歩足を踏み入れれば、「ようこそいらっしゃいました」と迎えられているのがわかる。ピアノのある広いリビングルームにはハワイにちなむ古い書籍や楽譜が積まれ、庭に降りる階段とラナイは木陰になり、何時間でも読書ができるであろうゆったりとした椅子がある。

高めのラナイはウェストマウンテンからの風が吹き抜ける心地よい場所。うたた寝するのもよし、読書にいそしむのもよし、もの想いにふけるのもよし

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