沖縄料理とは一線を画す
本物の“琉球料理”を味わう

●琉球料理 赤田風 (あかたふう)

椀物“中味のお吸い物”。豚の内臓を丁寧に下処理し、鰹だしのスープでいただく逸品。臭みは皆無で、繊細かつ上品な味わいに誰もが驚く。

 ラフテーや豆腐餻(とうふよう)、ミミガーなど、今やすっかりおなじみのものとなった沖縄の郷土料理。そのルーツは、琉球王国の宮廷料理にあるといい、その伝統を実直に受け継ぐ数少ない名店が「赤田風」だ。

料理はすべて12品コース 7,900円(税込)から。左から、肉味噌を薄皮で巻いた“ポーポー”、もっちり感がたまらない“芋くずアンダギー”。

 「沖縄料理の多くは、かつて宮廷で供されていたもの。王朝の崩壊とともに宮廷料理人たちが市井に下り、庶民の間に広まったのです」と語るのは店主の城間健さん。この道約40年の名匠だ。

左から、豚バラに黒ゴマをまぶした“ミヌダル盛り合わせ”、包丁使いに料理人の遊び心が生きる“花イカ盛り合わせ”。

「しかし、非常に手間暇がかかることから、次第に調理が簡略化されていき、本来のものとは全くかけ離れてしまったのです」

左から、旨味の深さに思わずうなる“昆布イリチー”、芋茎を極限まで煮込んだ“ドゥルワカシー”。

 下ごしらえから盛り付けまで、そこにかける手間と時間はたいへんなもの。小さな一皿一皿に卓越した手仕事が凝縮し、ラフテーひとつとっても、煮上げるまでに数日を要する。だからこそ、これまでの料理との違いは最初のひと口で瞭然。琉球料理の本当の美味しさに驚き、感激することだろう。

左から、軽やかな口当たりの“耳皮さしみ”、鮮烈な味わいが手作りならではの“豆腐餻”。

 なお、仕込みに時間がかかるため、数日前までに要予約だ。

左から、端正な旨味に感激する“ラフテー”、首里風の昆布入り“ジューシー”。

琉球料理 赤田風

かつて琉球の王都だった首里の閑静な一角で、宮廷料理の正統を受け継ぐ稀少な一軒。味わうなら12品コースがおすすめだ。

所在地 沖縄県那覇市首里赤田町1-37
電話番号 098-884-5543
営業時間 12:00~14:00、18:00~22:30
定休日 日曜
※完全予約制(昼は4~5名から予約可)
http://www.akatafu.net/

取材・文=矢野詔次郎
撮影=長谷川 潤