Artigiano(職人)の国、イタリアから職人が消えつつある……。
かつてはローマの中心部にも多く存在した職人工房。そのほとんどはごくわずかな職人たちがせっせとモノづくりに没頭する小規模な工房だった。それが大量生産・大量消費という時代の流れによって少しずつ姿を消していったのは、1980年代以降のことだった。
モノづくりは好きだけれどお金にならないと諦める若い世代。継がせたいのはやまやまだが子供には安定した未来を築いてほしいと、自らの代で工房を閉める職人たち。工房に女の弟子は御法度という時代遅れな彼等の考え方もそれに拍車をかけた。匠たちの技が途絶えてしまう……。
そんな危機感を覚えたリヴィア・カルケッラとブルーナ・ピエトロパオリは、1999年、女性アーティストや職人たちのためのグループ“le Artigiane.it (レ・アルティジャーネ・プント・イット)”を立ち上げた。
個々に活動する若手の職人たちが集い、インターネットというツールを使って発表の場を設け、ネットショップで彼女たちの作品を直に購入できる環境を整えることで、つくり手と買い手の距離をぐっと縮めたのだ。
当時、職人、デザイナー、アーティストたちによる一点ものやハンドメイドの作品にこだわったネットショップは珍しかった。そのため、“le Artigiane.it” の存在は、徐々に口コミで広がり、新しい市場を開拓していったのだという。
text&photographs:Yukie Muramoto