フレンチの最高峰を極めるガストロノミー店が数多くあるパリで、小さな変革!? ラグジュアリーの粋を追求する若きシェフが提案する“日々の美食テーブル”へ。厳選した4軒をご紹介。

» 第1回 魚料理レストランとして愛された往年の名店
» 第2回 注目度No.1日本人シェフの新店
» 第4回 グリルと炭焼きで表現するスーパー素材料理

派手さを抑制しながら
フレンチの真髄とモダンを融合

◆Monsieur Restaurant
 (ムッシュー・レストラン)

マッシュルームとベーコン、クリームを玉ネギのヒダに挟み、熱いオニオンスープを注ぐ。アルザスの名物タルト・フランベにちなんだ一皿。14ユーロ。

 1930年の創業以来、シャンゼリゼ大通り至近とは思えぬ静けさが自慢の隠れ家ホテル「ランカスター」。パリジャンが通うのは中庭に面したバーと、派手さを抑制しながらフレンチの真髄とモダンが融合する料理の質の高さが評判のレストランだ。

西洋ゴボウとキノコを添えた鱒のグリル 35ユーロ。リースリングワインがソースに香る。

 目下のおすすめは、フランスの一地方をテーマに食材や伝統料理、ワインをフィーチャーする月替わりのメニュー。オーナーが変わり全館改装の後にシェフに抜擢されたセバスチャン・ジルーのアイディアだ。

“ヘーゼルナッツとレモンクリームのタルト” 14ユーロ。

 例えば12月はアルザスをテーマに、鴨のガラのブイヨンを添えるマンダリンとパン・デピス添えのフォアグラなど、伝統料理回帰のムードをシックに表現。

シェフ、セバスチャン・ジルー。2017年9月の改装、再オープン時より厨房で腕を振るう。
1930年代にはマレーネ・ディートリッヒが3年ほど暮らし、レストランではフランスを旅した彼女が持ち帰った各地の料理を調理したという。現代のダイニングもシック。

Monsieur Restaurant
(ムッシュー・レストラン)

所在地 7 rue de Berri 75008 Paris
電話番号 01-85-15-21-49
営業時間 12:00~14:00、19:30~22:00(L.O.)
定休日 土・日曜
http://www.monsieur-restaurant.fr/
※Hôtel Lancaster内のレストラン。

Text=Chiyo Sagae
Photo=Atsushi Hashimoto