「温泉は飲みもの」が常識！
チェコのひと味ちがう温泉事情とは？

人気温泉保養地と人気の癒しコース

 なんといっても国内で一番有名な温泉保養地は、カルロヴィ・ヴァリ。14世紀に国王カレル4世が狩りの最中に偶然見つけたのが始まりだと言われています。現在は観光地としても有名で世界各国から多くの観光客が訪れます。年に一度は国際映画祭も開催されるため、ハリウッド俳優も毎年訪れるセレブ御用達の温泉保養地でもあります。

カルロヴィ・ヴァリの有名な源泉ウジーデルニー・コロナーダは地上へ高く吹き上がる間欠泉。

 町中には源泉が12種類あり、いつでも自由に飲泉できるようになっています。源泉のまわりは美しい建築で囲まれており、川沿いのプロムナードを散歩しながら優雅に飲泉するのがヨーロッパ貴族風の楽しみ方。といっても源泉の味は決して美味ではありません。良薬口に苦しですね。

 町で一番規模の大きいホテル「Grand Pupp」をはじめとする各宿泊施設では、飲泉以外の保養施設も充実しています。温水プールやサウナ、各種マッサージ、ウェルネスは保養地滞在中の利用者達の大きな楽しみでもあり、寒い冬でも室内で多くのトリートメントを受けられます。

カルロヴィ・ヴァリをはじめとするチェコの温泉地には、ヨーロッパ風建築様式の保養施設(ホテル)が立ち並びます。

 隣町のマリアンスケー・ラーズネェには国内最大級の保養リゾート「ノヴェー・ラーズネェ」があります。施設内でも人気のローマ式風呂ではまさに日常から離れて優雅な気分で温泉を楽しめます。そのほか多数のコースがあり、その日に訪れた観光客でも利用できるようになっています。

マリアンスケー・ラーズネェのノヴェー・ラーズネェ内にあるローマ式風呂。

 一人でゆったり温泉水に浸かりたい人には、一人用のバスタブでのミネラルバスの利用がおすすめです。この地方独特のCO2の多い成分の温泉水は体を浸けると、皮膚にブルブルとした感触があり、皮膚疾患の治癒だけでなく、肌の美容にも大変良いそうです。

 20分ほどの入浴の後はシーツと毛布で体中をすっぽり覆ってくれるので、おもわずそのまま眠りに落ちてしまいそうですが、入浴の後は適切な休憩をとることも温泉の入り方の基本なんですね。

マリアンスケー・ラーズネェのノヴェー・ラーズネェ内で入れる一人用ミネラルバス。

 さらにその隣町には地元民にも人気のフランティシュコビー・ラーズネェがあります。町並みは端正で、この町は1792年に世界初のマッドバスを始めた地でもあります。

 ホテルにはマッドバスやマッドスパ、マッドマッサージを含むウェルネスコースやウェルネス週末パッケージも多数あり、女性を中心に人気の温泉地となっています。

マッドスパは美しい肌を手に入れるための最強トリートメント。

 ほかにもまだまだ日本のガイドブックでは紹介されていない温泉保養地が、チェコ国内にはたくさんあります。プラハ近郊にも日帰りで行ける温泉地があり、石畳みの街歩きが多いヨーロッパ旅行中の癒しにはもってこいです。チェコの温泉地、ぜひ体感して下さい。

文・撮影＝クレメントゆみ子