ひと味違う子ども服やバッグ
紳士向けのラゲージ・ショップも

子ども服のかかったラック。小さいけれどきちんとつくられたものばかり。

 ティン・ティン・コレクタブルズでは、婦人向けだけではなく子ども服も扱っています。コートやワンピースなど、小さいけれど丁寧につくられた逸品ぞろいです。

 前述の婦人物同様、「例えば、シャーリングの上に飾り縫いを施したスモッキング部分だけ切り取って、別のファブリックと組み合わせて新しいドレスに作り替えたり、というケースもあります」とレズリーさん。

 超上流階級のスタイリストさんが訪れて、そういった手を加えることがあるそうなので、テレビで英国貴族一家が登場するときには、子どもたちのファッションにも要注目です。

色の異なる縦糸と横糸で織られたファブリックが、独特の光沢を放つ子ども用ドレス。こういったドレスの胸のスモッキング部分だけを利用して、新しいドレスに作り替えるケースも。
スキャパレリがダリとコラボして制作したバッグ。留め具部分のモチーフはダリの手によるもの。内側にはスキャパレリのロゴが入っています。

 見た目の美しさのほかに、ストーリー性のある品物が多いのも、このショップの特徴のひとつ。

 「一見して『美しい』とはいえない、なんの変哲もないように見えるレザーハンドバッグでも、よく見てみたらエルザ・スキャパレリがサルバドール・ダリとコラボして少数生産したものだったりすると、店頭に置いてしまいますね」とレズリーさんが差し出したのは、確かに女王陛下が持つような四角いハンドバッグ。しかしよく見ると留め具にちょっと変わったデザインが施されており、内側にスキャパレリのロゴが入っています。

2階にあるラゲージ専門店の店内。

 地上階のこのショップのほか、ひとつ上の階には同名の紳士向けヴィンテージ・ラゲージの専門店も。こちらも、ダウントン・アビーやハリー・ポッターなど映画やドラマで使用するスーツケースの調達元でもあります。

左:「ダウントン・アビー」では、このショップから白いスーツケースが使用されました。
右:ルイ・ヴィトンの各種ケースもあり。

 ファッションは、その時々の社会的変化を如実に表していることがとてつもなくおもしろい、と語るレズリーさんから、気になる品物の解説を聞きつつショッピング。ヴィンテージ・ファッションに興味のある人には、おすすめのちょっと贅沢な経験ができるショップです。

Tin Tin Collectables
(ティン・ティン・コレクタブルズ)

所在地 Ground Floor G38-42 / 1st Floor 014 Alfies Antique Market, 18-25 Church Street, London NW8 8DT
電話番号 020-7258-1305
http://www.tintincollectables.com/

安田和代(KRess Europe)
日本で編集プロダクション勤務の後、1995年からロンドン在住のライター編集者。日本の雑誌やウェブサイトを中心に、編集・執筆・翻訳・コーディネートに携わる。
ロンドンでの小さなネタをつづったフェイスブック www.facebook.com/kresseuropelimited
運営する編集プロダクションのウェブサイト www.kress-europe.com

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文・撮影=安田和代(KRess Europe)