ホーチミンのセレクトショップで目指せ脱ブランド

こだわりが活きるアイテムの数々

 そのため彼女が作るアイテムの数々は、革はもちろん使用する糸や生地に至るまで、耐水性が高く劣化しにくいものを厳選して使用。ひとつひとつが丁寧に手作りされている。

アヌパさんが手掛けるブランド「アヌパ」は、キラキラと光るワンポイントのビーズデザインが目印。財布やバッグなど、揃えて持つのも楽しい。一部に竹を使ったサングラス、オーガニック生地のスカーフ、木の枝をそのまま利用した文具など、個性的なアイテムも

 また、周期の早いファッショントレンドを追うのではなく、シンプルで飽きのこない、時代に影響されないデザインとなっているのも特徴だ。

 そんな同店だけに、店に並ぶ他のブランドも、彼女が惚れ込んだ各国デザイナーによる洋服やアイウェア、アクセサリーや文具など、使い込むほどに味が出る、そんな商品がズラリ。他とはひと味違ったセレクトとなっている。

 その他、1930年代のフランスの縫製工場をイメージした店内に、作り手の情熱が感じられるオーナーお気に入りの生活雑貨や服を集めた「ルージン」など、まだ数こそ多くはないものの、こだわりの商品を揃えた店が各所に誕生している。

古びたアパートの2階(ベトナム表記では1階)を改装し、カフェも併設する「ルージン」

 これらの店は、チープキッチュや定番高級ブランドだけではない、新たなショッピングの選択肢として外国人旅行者にもおすすめ。ベトナムを中心に世界に人気が広まっていく、そんなショップや新ブランドが登場するのも、遠い先のことではないのかもしれない。

Photographs:Noriaki Sugita