「喧騒の街・ホーチミン市」とはよく言われるものの、静かでのんびりすごせる場所も市内には点在している。それらのスポットは憩いの場として人気で、なかでも今、次々と新しいショップやレストランがオープンし注目を集めているのが、市内中心部から車で15分ほどの2区・タオディエン地域だ。この地域は蛇行するサイゴン川が周囲を取り囲むようなリバーサイド。ペンシルハウスが一般的なベトナムにあって、瀟洒なヴィラが立ち並ぶ高級住宅街としても知られている。
とある午後、そんな2区をぶらりと巡ってみた。整備された広めの道にはオートバイの姿も少なく、徒歩での散策にぴったり。まずは昼食がてら、細い路地の奥にある白亜のヴィラを訪れてみた。こちらは南仏プロヴァンス料理が好評のレストラン「ラ・ヴィラ」。お目当てはフランス人オーナーシェフがその日の自慢の食材を厳選したランチセットだ。アミューズブーシュに前菜、メイン、デザート、焼きたてのパンがついて、なんと25万ドン。リーズナブルな料金ながら、ハーブやオリーブオイルで素材の味を引き立てた、本場の味をたっぷり堪能させてくれる。
食事のあとはショッピング。質の良いニット製品や、子ども服を取り扱う「ピュアヘヴン」には、デンマーク人デザイナーによる上品なデザインのアイテムが並ぶ。お洒落に敏感な母娘で楽しめる、そんな品ぞろえに在住外国人の人気も高い。ガレージ風の空間に、ヨーロッパ調の家具やポップな食器、雑貨が揃う「デコシー」ではカラフルな食器、石に細やかな透かし彫りを施したキャンドルホルダーなどに目移り。自社家具工場も持っており、オーダーメイドやリサイズも受け付けてくれるというから、こだわり派にもうれしい。
photograph:Noriaki Sugita / Naoto Ohike / Fumiharu Ishiwara