黄金色に輝くカラマツ林との競演
秋のマッターホルンが美しすぎる！

高さ90メートルの吊り橋から見る絶景！

大丈夫ってわかっていても、足が震えてしまいそうな吊り橋。

 そしていよいよ吊り橋。高さは90メートル。直下にはゴルナー氷河が溶けて水が岩を削った渓谷が。高所恐怖症の方は足がすくんでしまうかも……。吊り橋からは、ツェルマットの村とスイス最高峰級の4545メートルのドームやテーシュホルンの絶景が広がります。

吊り橋からの眺め。雲の上にいる気分です。

 フーリまであと少し。分かりやすい看板に沿って進みます。

看板があるので安心してハイキングできます。

 やわらかい木漏れ日に癒されながら、スキーコースのなかを気持ちよく歩いていきます。ナナカマドが真っ赤に染まった実をつけています。この木は燃えにくいのですが、昔、姑さんがお嫁さんにナナカマドの木をわざと渡していじわるをした、というお話もあります。そして、とある小屋の前を通ると、なかから何やら動物の鳴き声が……。

真っ赤なナナカマドの実。

 のぞいてみると、ツェルマットのマスコットキャラクターの黒鼻ひつじちゃんたちがいました。小さいベビーもいて、ママはしっかり子供を守っています。寒い冬は小屋の中で過ごすのです。

黒鼻ひつじの親子。もこもこの赤ちゃんがかわいい！

 ようやくフーリ駅に到着。駅のそばには、私の大好きな「ベルグレストラン・フーリ」もあるのですが、今回はツェルマットの村で行きたいカフェがあるので、休憩は我慢。ここからゴンドラで村まで下ります(季節によってはロープウェイになることもあります)。

 村に到着してから、今年オープンしたと聞いてぜひ行ってみたかった「カフェ・プチ・ロイヤル」へ。お洒落な雰囲気の2階建てのカフェで、店内はのんびり落ち着いて過ごせます。今回は、チャイラテとメレンゲクリームケーキを注文。たくさん歩き、疲れて冷えたので、温かいチャイが体にしみます。至福のひとときです。

左：こぢんまりとした店構えのカフェ・プチ・ロイヤル。
右：温かいチャイとケーキ、幸せ❤

 店内では、オリジナルのマッターホルンチョコなどのほか、メイド・イン・スイスのお土産も購入できます。私のお気に入りの紅茶「SIROCCO」も売っています。世界中のオーガニックハーブを厳選して紅茶を作っているスイス生まれのブランドで、葉がそのまま入っていて、いい香りが広がります。

左：ツェルマット名物、マッターホルンの形のチョコレート。
右：メイド・イン・スイスが詰まった棚。

 ツェルマットもいよいよこれから本格的なスノーシーズンを迎えて、すべてが白銀の雪景色に変わってしまいますが、来年、スイスへのご旅行をお考えの方は、ぜひ、10月の黄葉の時季はいかが？ 美しい景色と心地いいハイキングで、癒やされること間違いなしですよ。

西村志津(にしむらしづ)
山に魅せられ、日本山岳ガイド協会認定の登山ガイドとなる。2012年の結婚を機にスイスへ移住。コーディネーターやハイキング・スキーガイドとしてスイスと日本の架け橋になる活動に努める。一方で心と身体の健康を伝えるべくヨガインストラクターとしての一面も持つ。現在、子育てにも奮闘中。共訳書に『マッターホルン最前線』(東京新聞出版局)。

文・撮影＝西村志津