スイスを旅する最大の魅力といえば、近年まで前人未到だったアルプスの山々へも、セレブリティたちに愛された湖畔のリゾートへも、いとも簡単に行けるところ。しかも圧倒的な大絶景で、旅人を感動の極みへと導いてくれるのだから素晴らしい。なかでも標高4478メートルを誇るマッターホルンを眺める休日は、一生心に刻まれる体験になるだろう。

» 第2回 3100mの山上から憧れの最高峰を正面に眺める
» 第3回 4478mの頂点を眺めるなら、ここはマスト!

これぞ感動の頂点! 聖なる頂を眺める旅

360度の大パノラマにとにかく圧倒されるゴルナーグラート展望台からの眺め。マッターホルンのほかにも、4000m超の美しい山々を一望にできる。右はヴァイスホルン(4506m)、左はチナールロートホルン(4221m)。

 かつて、その頂に到達することは不可能とまでいわれたマッターホルン。“魔の山”とよばれて恐れられ、多くの登山家、冒険家らが命を落としたこの聖域も、1865年に若き英国人ウィンパー率いるチームによって征服され、神秘のヴェールはついに取り去られることとなった。

 それから時を経ること150年。登頂に挑む猛者たちを送り出した山麓の寒村ツェルマットは、今ではその姿を大きく変貌させ、憧れの山岳デスティネーションとして、世界中にその名を轟かせている。

 天を突く4478メートルの山頂は、村内はもちろんのこと、様々な場所から拝むことができ、それぞれ異なる表情で人々を魅了する。とりわけ、登山鉄道に揺られること約40分。標高3130メートルのゴルナーグラート展望台から眺める凛とした姿は、感動の頂点。一生に一度は見ておきたい大絶景だ。

 体力と経験を誇る本格的な登山者から、気軽にトレッキングやハイキングを楽しみたい山ガールたち、さらにはアクティブなことは抜きにして優雅に過ごしたいリゾート派にまで、その雄姿を見せてくれるマッターホルン。聖なる山として畏怖の存在だった霊峰は現在、この地を訪れるすべての旅人を歓迎するのだ。

Zermatt(ツェルマット)
●アクセス チューリヒから列車で約3時間30分。サン・モリッツからパノラマ列車「グレッシャー・エクスプレス(氷河特急)」で約8時間。

Photo=Taisuke Yoshida
Edit & Text=Shojiro Yano
Special Thanks=Toshimi Brunner、Shizu Nishimura Brunner