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バルセロナで貴重な「地元の人しか知らないおいしいお店」
日本のお客さんから聞かれて困ることのひとつに、「地元の人だけが知っている、おいしいお店を教えてほしい」というお願いがあります。最近では、お店の評判はあっという間にグルメサイトやSNSなどで世界中に拡散されて、「地元の人だけが知っているお店」などというものは、ほぼなくなりつつあるといっても過言ではないのです。
カリッとしていながらイカ自体はソフトという絶妙の揚げ加減。これにロメスコソースを合わせるのも独特ながら、さらにスモーク・アリオリソースのわずかにクセのある香りが加わって、バルの定番タパスが極上の逸品に。
が、しかし。わずかとはいえ、まだ時折、お客さんのほとんどが地元民で、しかもとびきりおいしい、というお店に出会うこともあります。今回ご紹介するのは、まさにそういう一軒です。
お店の名前は「La Mundana de Sants(ラ・ムンダナ・デ・サンツ)」、通称「ラ・ムンダナ」。店構えは何の変哲もなく、パッと見たところ、よくある小ぎれいなバル・レストランといった感じです。正式名称に「de Sants(サンツ地区の)」という表現がついていることからも分かるように、オーナー自身もあくまで地元民に親しまれるお店を目指したとのこと。
ところが、ここで出される料理が半端なくおいしいということで、2015年12月のオープン以来、あっという間に連日満員の大盛況に。近所のお客さんからの口コミが加速度的に広まり、最近は評判を聞きつけた地元メディアにも取り上げられるようになってきました。
ぶつ切りのタコと、その周りにごく薄く巻かれたイベリコ豚のパンチェッタとのマッチング。ベースにしかれた“おこげ“とサフラン風味のルイユソースとでコクを加えながらも、野菜のさわやかな苦みですっきりと。さまざまな味・香り・食感が一口で味わえる、人気メニューのひとつ。
文・撮影=坪田みゆき