駅から徒歩でビーチに出られる日帰り旅行にぴったりな町

 地中海の日差しが強まり、海沿いの散策が気持ちよい季節。バルセロナの海ももちろん良いですが、今回は少し足を延ばして近郊の町シッチェス(Sitges)まで出かけてみましょう。

2キロ以上続くビーチ沿いの遊歩道。個人邸宅も含め、海に向かって建てられた瀟洒な建物が目を引く。

 バルセロナからは近郊電車で30分足らず。本数も多いので、日帰り旅行にぴったりです。駅からビーチまでは歩いてほんの15分程度。旧市街の細い道を、人の流れに沿って進み、ショップやカフェを眺めながらぶらぶら下っていけば、海が見えてきます。

シッチェスの旧市街。細い通りの先に地中海がのぞく。

 海沿いの遊歩道(Passeig de Marítim)は2キロ以上続き、年間を通して多くの市民や観光客が散歩を楽しんでいます。ビーチで泳ぐもよし、日光浴するもよし。これからの季節、特に週末は大勢の人出でにぎわいます。

 ひと巡りしたら、広々したビーチを後にして、遊歩道の東端(海に向かって左端)へ。階段を上ったところにある聖バルトメウ・聖テクラ教会(Església parroquial de Sant Bartomeu i Santa Tecla)の右手にまわり、白壁の建物に挟まれた小道を通り抜けると、そこはサン・セバスティア・ビーチ(Platja de Sant Sebastià)です。先ほどまでのビーチに比べ、ぐっとこじんまりした雰囲気ですが、ビーチ沿いに並ぶテラス・レストランと併せてシッチェスの絵葉書には欠かせない風景となっています。

サン・セバスティア・ビーチ。海沿いのレストランのテラス席は一年中大人気。

 さてここまでは、日本のガイドブックなどにもよく紹介されている部分。でも、せっかくシッチェスまで来たのならぜひ訪れてほしいのが、サン・セバスティア・ビーチからさらに先にあるマリーナ地区です。

 海沿いの道を、もう少し進んでみましょう。途中、小さな教会や、海に張り出したテラスが人気のビーチハウスの脇を通りすぎて、サン・セバスティア・ビーチよりもさらに小さなビーチがある入江を回り込み、防波堤を越えたらそこがマリーナ(Port de Sitges)です。

マリーナ地区から旧市街方面を望む。

文・撮影=坪田みゆき