高槻市のしろあと歴史館で観覧無料の企画展開催中

高槻市立しろあと歴史館で、令和7年9月7日(日曜日)まで、多種多様な工芸技術の粋を集めた豪華な甲冑、刃文が冴えわたった刀剣、飾り金具を多用した鉄砲など武士の美を物語る名品50点以上を取り揃えた企画展「武士の美 甲冑・刀剣・鉄砲」を開催しています。
日本の武具は戦場で実際に用いられる防具・武器であると同時に、武士の象徴として威厳や美しさが求められました。中でも、様々な工芸技術の結晶である甲冑、刃文や地鉄の変化を鑑賞する刀剣、鉄の高い鍛造技術に支えられた鉄砲は美術工芸品としても優れ、「武士の美」として高く評価されています。この企画展では、大名家伝来品などの華やかな甲冑、精巧に作られた刀剣、火縄銃や洋式銃といった様々な種類の鉄砲など、しろあと歴史館が収蔵する武具の名品50点以上を展示しています。
見どころの一つが、江戸時代に製作され、儀式用として飾られた豪華な甲冑「縹糸威鎧(はなだいとおどしよろい)」。全体に鮮やかな紺色の威糸が使われ、籠手などには金色の装飾が施されるなど美しい甲冑が目を引きます。鎌倉時代や南北朝時代の武士を理想像とし、その再現をめざした「復古調」の様式を採り入れたもので、源平合戦や太平記に登場する武士の姿を再現。こうした復古的な甲冑は、儀式の場において大名家などの威厳を示す存在でした。また、米沢藩最後の藩主・上杉茂憲が所有した「縹糸素懸威最上胴具足(はなだいとすがけおどしもがみどうぐそく)」は、初代藩主の景勝所用の具足を手本にしたもので、落ち着いた漆黒と深みのある紺糸のコントラストが他の甲冑とは異なる存在感を放ちます。
刀剣では、南北朝時代に活躍した刀工・長谷部国重の短刀をはじめ、高槻藩士の子孫から寄贈された高槻ゆかりの刀「筑前国福岡住是次」などを展示。日本刀ならではの「地鉄」や「刃文」といった鍛錬や焼き入れによってできた模様が、美術的鑑賞の対象となっています。また鉄砲では、「摂州住松本宇兵衛作」と銘文のあるものをはじめ、大阪府の堺で作られたものを紹介。堺製鉄砲は、真鍮製の飾り金具をふんだんに用いた装飾性の高さが特徴です。これらの展示を企画する同館担当者は「日本の武具は実用性とともに象徴性が求められたことから、美しく見えることも重要でした。展示品から、武士が求めた武具の美しさを感じてほしい」と話しています。
【企画展「武士の美 甲冑・刀剣・鉄砲」概要】
会期:令和7年9月8日(日曜日)まで
場所:しろあと歴史館 企画展示室
料金:無料
【関連ホームページ】
しろあと歴史館 第53回企画展「武士の美 甲冑・刀剣・鉄砲」高槻市ホームページ(https://www.city.takatsuki.osaka.jp/site/history/151051.html)
【しろあと歴史館概要】
住所:高槻市城内町1番7号
開館時間:午前10時から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日(祝日は開館)、祝日の翌平日、年末年始(12月28日から1月3日まで)