中世から続く老舗の搾油所

 今回おじゃましたオリーブオイルの搾油所は、中世15世紀からの歴史を持つ老舗「サンタ・テア」。その当時使っていた器材も展示してある興味深いスペースもあります。

左:昔の搾油器材、オリーブの実をつぶすのに使っていた石臼。
右:搾りたてのオリーブオイル。

 この地帯のオリーブの搾油を一手に引き受ける工場で、最新の機器を揃え、収穫したオリーブをすぐに搾油する手順が整っています。この工場独自の機器も設置されているため、撮影ができないところもありましたが、基本的な製法は、オリーブの実を洗い、粉砕して、撹拌。そして油分と水分とに分けて、取り出した油分がオリーブオイル、なかでもエクストラ・ヴァージンといわれるものです。できたてのオリーブオイルの美しさ、香りの豊かさは、酔うほどに美味なのです。

左:工場に併設された直売店。サンタ・テアのオリーブオイルやオリーブを使った化粧品なども販売。
右:オリーブオイルの試飲もできます。

 こちらの工場では直売店もあり、その場で試食や購入もできます。こちらでは、エクストラ・ヴァージンのハイクラスなものや、オリーブの品種ごとに作ったものなど、工場ならではの通好みなラインナップが揃います。

左:緑色が鮮やかな搾りたてのオリーブオイル。
右:ただの野菜もおいしいオリーブオイルを加えれば立派な料理に。

 さて、こちらが、実際に摘んだオリーブから搾油してもらったオリーブオイル。あれ? うちのオイルと違うような……、と思った方も多いでしょう。早摘みのトスカーナのオリーブオイルはこんな美しい緑色をしています。この色は、オイルの酸化とともに失われ、見慣れたあの澄んだ黄色いオイルになるのですが、この緑色は、摘みたての搾りたてでしか見ることができない美しい色。

 そして、その味わいはまた、この初モノでしか味わえない、独特の辛みと渋みがあります。それは刺激的ながら、喉の奥で旨みに変わっていき、驚くほど豊かな味わいです。そして最後に広がる青い爽やかな香りは、豊かな大地の草花をかき集めたよう。

 とにかく、これを料理にちょっとかければ、たとえそれがただ茹でただけの野菜であっても、まるで自分が料理上手になったように錯覚するぐらいおいしい一品になるのです。

 オリーブオイル、いままでサラダ油のように使っていませんでしたか? これは立派なスパイス、調味料です。もちろん、汎用品として一番搾りの後に加工されたものや時間が経ってしまったものはスパイシーさや爽やかな香りは失われていますので、他の油のように使うものなのですが、日本でも産地直送のオリーブオイルが手に入りやすくなったとききます。

 オレイン酸には、コレステロールを減少させ、皮下脂肪をつきにくくしたり、整腸作用で便秘予防する効果もあるとか。さらに抗酸化作用で、美肌や若返りなんて、うれしい効能がたくさん期待できる健康食品、オリーブオイル。今までの認識から一歩進んで、おいしい一滴、味わってみませんか?

搾油所「サンタ・テア」
URL http://www.gonnelli1585.it/it/frantoi/santa-tea
※サンタ・テアのオリーブオイルはこちらから購入できます http://www.toscanaetoscana.com

藤原亮子 (ふじはら りょうこ)
イタリア・フィレンツェ在住フォトグラファー&ライター。東京でカメラマンとして活動後、'09年、イタリアの明るい太陽(と、おいしい食べ物)に魅せられて渡伊。現在、取材・撮影・執筆活動をしつつ、イタリアの伸びやかな景色をテーマに写真作品も制作中。イタリアでの日々をつづったフェイスブックはこちら。 https://www.facebook.com/chococogogo

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文・撮影=藤原亮子