本格的町の食堂CANTON POP 

 町の食堂、茶餐廳(チャーチャーンテーン)は香港人の生活(特に朝食、ランチ)になくてはならない存在である。

 旅行者にとっては未知のローカルグルメに挑戦できる場所だが、安いだけあって未だにどの店もMSG(うま味調味料)を使っていたり、店の対応ももれなく荒っぽい。皿が飛んできたり、注文は煽るか無視のどちらかだ。昔風の味なのでとにかく濃い、油が多い、飲み物の甘さに容赦がない。MSGで頭痛になる人もいる。普通のものを食べようとすると、これだけの困難に見舞われる。けっこうなストレスだ。

 5月半ば、中環(セントラル)にオープンしたCANTON POPはそんな茶餐廳のイメージを覆して評判の店だ。MSGは一切使わず、食材はすべて自家農場からの有機野菜、肉を使いパスタ、麺もその場で作っている。

 壁一面に描かれたポップアート、オープンキッチン、笑顔のマネージャーなど、茶餐廳らしからぬ環境だが茶餐廳の特徴である120種類近いメニューの豊富さを保ちつつ、伝統的なものに加え香港ならではの食材を生かした新メニューも好評だ。

 人気メニューは自制餐肉蛋麺(自家製ランチョンミートと音楽卵のスープパスタ)、犀飛利叉蛋飯(叉焼目玉焼き飯)。音楽卵のスープパスタはもともと香港人の典型的な朝・昼食メニューだが、これまで缶詰でしかなかったランチョンミートが自家製、さらに音楽を聴かせて飼育する鶏の、味の濃い卵を使っているだけあって別格の美味しさだ。スープのダシもオーガニックの豚骨、豚肉、鶏肉、野菜からじっくりとったもので、コクがある。

 またランチの代表格である叉焼飯の叉焼はスロークックで12時間かけてやわらかく仕上げたもの。音楽卵、有機野菜、遺伝子組み換え無しの白米という徹底ぶりだ。このランチョンミートと叉焼はやみつきになる味で、大人気なのもうなずける。またピータンと豚肉の粥は、湯葉のたっぷり入った本格的な粥をベースに自家製ピータンという安心の一品だ。

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