LINGUINI FINI、2011年6月の開店以来その人気で頻繁に話題に上る店である。

 高級店ではなく、最も高い料理で168香港ドルというピザのチェーン店並みの価格帯で大変にカジュアルなイタリアンレストランだ。

 にもかかわらず、発売中の2012年度版ミシュランに星はまだないもののすでに紹介されているという事は、オープン後2、3カ月もたたないうちに密かに取材されたという事だろう。

 たった半年で新たに下の階までフロアーを2倍に拡張、今年1月に再オープンするという勢いだ。

 まず特筆すべきは、香港ならではのローカル食材を生かした珍しいパスタの数々。

ジェノバソース&あひるの卵の塩漬け

 臭草は、伝統的な緑豆沙という緑豆のお汁粉に使われるハーブでそのジュースを練り込んだ色と香りのよいパスタにゴルゴンゾーラチーズのソースをからめたもの、ジェノバソースにあひるの卵の塩漬けをふんだんに振りかけたもの、干しえびをパスタに練り込んだもの、など伝統的なイタリアンに加え、ぜひとも香港ならではの食材を生かした新しい料理を、というシェフVinnyがマーケットに足しげく通って出会った食材から生み出された世界でも初の組み合わせを楽しめる。

 これらをはじめ、すべてのパスタは毎日2回に分けてキッチンで手作りされており、メニューの最初に登場するフラットブレッドはオリジナルメニューでフォカッチャに近い土台にピザのトッピングをのせたもの。

 自家農場からの野菜はすべて有機野菜、豚、鶏も薬品を一切使わずに育てる。

ホームメイドソーセージ

 サラミは手作りで、燻された後に店内の大型ケースに吊るされ、フレッシュな豚肉を使いケーシングまで香港のもの、というシンプルかつこだわりの自家製ソーセージも香港人に大人気だ。

 店では豚を丸ごと1匹使い、どこも無駄にしないというコンセプトもかかげていて、心臓のカツレツやイタリアの伝統的な皮付きローストポークなどあらゆる部位を使ったメニューが見られる。

 定番の鶏の丸焼きはロティサリーで豚肉と共に焼かれるため豚肉の肉汁とオイルでとても香ばしく仕上がっている。

 デザートはすべて48香港ドル、パンナコッタが丸ごと1つ乗ったブラックフォレストやティラミスは意外なプレゼンテーションが楽しく、おすすめだ。

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text&photographs:Miyuki Kume