どこまでも青い地中海と美しいビーチライン

 町のシンボルは、何といっても旧市街の丘の上に建つペニスコラ城。13世紀末から14世紀にかけてテンプル騎士団が建てた城塞で、後に教皇ベネディクトゥス13世が隠遁生活を送ったことで知られている。カトリック教会の対立教皇として波乱にとんだ人生を送ったこの教皇は、地元の歴史における最重要人物で、町を歩けばいたるところで彼の通称であるPapa Luna(ルナ教皇)という名前が目に入る。城にたどり着くのに地図は不要だ。旧市街の細いくねくねした白壁の坂道を、とにかく上へ上へと進めばOK。城の上からは、心地良い風に吹かれながら、どこまでも青い地中海と美しいビーチラインを一望することができる。

城から眺めるビーチライン

 さて、今度は先ほど上から眺めたビーチに降りてみよう。ペニスコラにはPlaya Sur(南ビーチ)とPlaya Norte(北ビーチ)のふたつのビーチがあるが、おすすめはPlaya Norteの方。白砂の広いビーチが、延々と隣町のベニカルロまで続いている。ここの海は遠浅なので、泳ぎが得意でない人でも安心して楽しめる。ビーチのすぐ脇には広い遊歩道を備えたAvenida Papa Luna(ルナ教皇大通り)が走り、沿道には多くのホテルやレストラン、カフェテリアなどが軒を連ねる。宿泊するなら、この大通り沿いのホテルでビーチ側の部屋を指定すること。目の前がビーチという絶好のロケーションに加え、その先には城を戴く旧市街という、まるで絵葉書のような眺めを部屋から堪能することができる。

夕暮れの旧市街。坂道沿いにバルがひしめく

 日が傾いてきたら、再び先ほどの旧市街へ。路地沿いに並ぶバルやレストランから、お気に入りを見つけてテラスに座るもよし、どこか昔懐かしいおみやげもの屋さんで旅の思い出を買い求めるもよし。少しずつ暮れていく空のもと、ここはひとつのんびりと、時間を気にせずそぞろ歩きを楽しもう。旧市街も、そしてビーチ沿いの遊歩道も、夜が更けるにつれてますますその賑わいを増していくのだから。

夜になって、ますます賑わう広場のテラス席
ビーチから眺めるライトアップされた旧市街は、ペニスコラご自慢の風景

ペニスコラ観光協会
URL en.peniscola.es
交通 バルセロナやバレンシアからバスで約3時間~3時間30分
URL www.hife.es/en

坪田みゆき(つぼたみゆき)
バルセロナ在住、コーディネイター。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)イスパニア語学科卒。在東京スペイン政府観光局勤務などを経て、2004年よりバルセロナ在住。バルセロナ、バレアレス諸島(マヨルカ島他)、バスク地方などを中心に、スペイン全土の取材・撮影コーディネイトの他、通訳・翻訳業務も行っている。http://spainbcn.exblog.jp/

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text:Miyuki Tsubota