「なんだお前、色気出してるのか」への“証明”

――参加ミュージシャンの話になるんですけど、例えばドラマーだったらmabanuaさん、伊藤大地さん、河村“カースケ”智康さん、玉田豊夢さん、刄田綴色さんって、最強の布陣ですよね。このクレジットだけでアルバムを聴きたくなる。でも、サブスクリション・サーヴィスで音楽を聴くようになってから、クレジットを分からずに聴くじゃないですか。あれが実にもったいないというか……。

 いや、本当にそれ残念ですよね。僕は今でもレコードを買うんですけど、それはやっぱりクレジットやライナーノーツが確認できるのが楽しくてしょうがない、というのもあって。中古で買ったレコードに解説とかクレジットが無いと「なんで無いんだよ!」って怒ったりするくらい(笑)。

――少し前なら、「編曲は船山基紀がやってるからジャニーズの曲も買ってみよう」というノリで、聴きたい音楽を選んでいったじゃないですか。それが今なくなりつつあって。これは大袈裟に言うと音楽文化の衰退にも繋がりかねないと思うんです。

 それは声を大にして言ってもらいたいし、僕も声を大にして言いたいです。僕も、ナイジェル・ゴッドリッチはこれもやってるんだとか、T・ボーン・バーネットがやってるなら買おうとか、うわこれライ・クーダーだったんだ、買ってよかったとか、そういうパターンがすごくたくさんあって。

 今はエンジニアがプロデューサー的な役割をすることもあるので、エンジニアが誰かっていうのものすごく重要だし。だから、今仰ってくださった意見には全面的に賛同します。

――あと、今回のアルバムで試したことや成功したことを、フジファブリックにも持ち帰ることで、バンド自体もヴァージョン・アップされると思うんです。それを見据えてのソロなのかなと。

 まさにそういう覚悟で作ったアルバムです。フジファブリックも20年近く活動してきましたけど、ソロを出すっていうと「なんだお前、色気出してるのか」とか「バンドに全てを賭けろよ」と思う方もいらっしゃると思うんです。

 でも、「いやいやそうじゃないんです、ソロの成果をバンドに還元したいと思ってやっているんです」と言いたい。でも、それを言葉だけで言っても伝わらないから、音楽で証明しないとと思って。それで、今回のようなソロを作ったんです。

 実際、歌を歌うのがもっともっと楽しくなってきていて、これは確実にフジファブリックに還元できると確信を感じていますね。あと、継続することが重要になってくるので、ソロを1枚出して終わりという企画ものではないと思っていて。フジファブリックのひとつのプロジェクトとして、ソロ・ワークを続けていきたいなと思います。

2022.03.17(木)
文=土佐有明
撮影=山元茂樹
ヘアメイク=田中佑哉
スタイリスト=伊藤省吾(sitor)