まだまだ続く後半戦! 大量の紙吹雪と今回のベストオブ魂の歌唱

■鈴木雅之「め組のひと 2021紅白ver.」

 中年層大歓喜枠。「ランナウェイ」からのスタートは胸アツ! ラッツ&スターの凄さを改めて感じ、「ボンボボンボンボン」と一緒にコーラスを入れた方も多いだろう。カメラ目線で「めっ!」のポーズを決める審査員の坂口健太郎さんに胸ズッキュン。

■BUMP OF CHICKEN「天体観測~なないろ」

 ボーカルの藤原基央さんが顔も声も年を取っていない。何を食べていらっしゃるのだろう。

■東京事変「緑酒」

 容赦なく降り注ぐ大量の紙吹雪に、メンバーが映らなくなるという非常事態に。椎名林檎から「たくさん降らせてくださいね。その方が盛り上がりますから……」とスタッフにお願いしているシーンを勝手に想像して萌えた! それほど紅白を丸ごと楽しみ自分の糧にしている感が彼女にはある

■石川さゆり「火事と喧嘩は江戸の華~津軽海峡・冬景色」

 私個人としては、KREVAとMIYAVIの「火事と喧嘩は江戸の華」がカッコ良すぎたので今回はこれ1曲に絞ってほしかった! なぜ2曲に~(泣)。

■氷川きよし「歌は我が命」

 悔しさ、悲しさ、迷い。心の底の底の底くらいから湧き出る想いをドカンドカンと感じた、今回のベストオブ魂の歌唱。

■布袋寅泰「さらば青春の光 <紅白SP>」

 抜群のスタイルを最大限に動かしてプレイする姿は、悪いものを祓ってくれそうなほど大迫力。身体全体が楽器!

◇◇◇

 トリの福山雅治とMISIAがドラマティックに締めてくれた今回の紅白。

 しかし今年、誰が一番心に残ったかというと、実家歌唱からの舞台登場からの大トリでMISIAとコラボ、というサプライズのホップステップジャンプを決めた藤井風だろう。流れ的にもスリッパ的にも! 初出場の歌手が全部持っていく。これも新たな紅白の扉なのかもしれない。

 それをしっかりまとめた大泉洋の明るい存在感はもはや無双。今、日本一頭の回転が早い愛され中年といっていい。その横でテキパキと進行を務める川口春奈もとても頼もしかった。彼女は肝っ玉母さん的な動じなさは本当に清々しい。

 エンディングでは、紅組勝利で飛び跳ね、肩がゴッツンコして痛がるBiSH、スケボー片手にグラサンといういでたちで決めた椎名林檎、後ろの方で紙吹雪にキャッキャする浮雲、ものすごく帰りたそうではあるが、蛍の光をちゃんと口ずさみ親近感爆上がりの常田大希、端の方で気配を消すまふまふなど、最後まで見どころ満載の紅白であった。

 今年末の紅白は、ガッツリ全席が埋められる有観客が叶いますように……!

田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡出る単1008語』(誠文堂新光社)など。
●田中稲note https://note.com/ine_tanaka/

Column

田中稲の勝手に再ブーム

80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。

2022.01.23(日)
文=田中 稲