今年で100周年を迎える伝説の名香、シャネル N°5。おそらく世界で一番有名な香水ながら、その構成は明らかにされておらず、世界で一番謎めいている香りともいえる。

 2021年3月19日(金)、誕生から100年の間に轟いた名声を振り返るシャネル N°5のスペシャルフィルムが、シャネル公式サイトにて、シャネルの映像シリーズ「インサイド シャネル」の最新章として公開された。

 スペシャルフィルムからわかった、シャネル N°5にまつわるドラマチックなトピックスを5つご紹介!

「香りのコラージュ」ですべての香水を時代遅れに!?

 シャネル N°5は、キュビスムやシュールレアリスムなど芸術運動が盛んだった時代に、ガブリエル シャネルとロシア皇帝の調香師だったエルネスト ボーにより生まれた香水。

 それまで香水は、現存する特定の花の香りを再現するものだったが、当時展開されていた革新的な芸術運動のように、それまで当たり前だったルールを覆し、新たな表現を試みることで、ここに「香りのコラージュ」という手法を誕生させた。

 新しく創造された香りは、香りの世界に革命をもらし、そのときに流行していたすべての香水を一瞬で時代遅れにしてしまったという。

香りに具体的な花の面影がない

 シャネル N°5の香りは、ジャスミンやイランイラン、ローズに、合成香料アルデヒドをブレンドしたもの。花のエキスがたっぷり入っているのに、なぜか香りに具体的な花の痕跡が感じられないのは、N°5のミステリーのひとつ。

 これまでの香水とはまったく異なる抽象的な香りで、「女性によって創造された、女性のための初めての香り」の誕生となった。

「N°5」そのネーミングの由来とは?

 ミニマルを極めたネーミング「N°5」。その由来は、ガブリエル シャネルお気に入りの数字だったからという説や、その香りが5つ目の試作ボトルに入っていたからという説もあるのだそう。

2021.04.01(木)
文=CREA編集部