環境への負荷を最小限に地元の人と歩んだ軌跡

 豊かな自然に囲まれたリゾートであるソネバでは、地球環境への負荷を最小限にするために、これまでどんな活動をしてきたのだろうか。

 「ソネバにおいてサステナビリティは、コンセプト作りの段階から最も重要でした。今さえよければいい、という考え方は絶対にあってはならないのです。

 ところが25年前のモルディブの観光業界には、そんな概念はまったくありません。

 土産物店には野生のカメやサメを殺して作ったアイテムが並んでいる有様。私たちはまず、ここから変えていかなければいけないと誓ったのです」

 とはいえ、環境保護や動物愛護を声高に訴えたところで地元の人たちの理解や賛同は簡単には得られない。

 「そこで、カメやサメを殺すより、生きた姿を見せるエコツアーのほうが、長きにわたって利益を生み出せるのだと啓蒙するキャンペーンを開始し、子供たちのためにも固有種は保護しなければいけないと繰り返し伝えました。

 今ではエコツアーはモルディブ観光の大きな柱となっています」

 固有種の保護に関してソネバではさらに進んだポリシーを貫いている。野生のマンタや魚への餌付けは一切しない。

 その代わりに海洋生物学者と一緒にシュノーケリングをしながら、マンタの自然の姿を観察するツアーを実施。海洋生物学者は人とマンタが適切な距離を保つように細心の注意を払い、ゲストは海の中で、その悠々と泳ぐ姿を眺めるのだ。

「こういった特別な体験にゲストは喜んで参加します。その参加費の一部をモルディブの海の環境保護に役立てることもでき、まさに一石二鳥です」

Text=Yoriko Kuroda
Edit=Shojiro Yano