再生エネルギー、脱プラ、ゼロエミッション……。今ではよく耳にする地球環境保護への取り組みを1990年代から続けてきたリゾート“SONEVA”。
ラグジュアリーとサステナビリティという一見相反するコンセプトの融和・共存を求めて、業界をリードし続けたリゾート経営者ソヌ・シヴダサニさんにポスト・コロナの時代のリゾートの在り方を聞いた。
SONEVAホテル4軒の魅力と、ソヌ・シヴダサニさんのインタビューをお届け!
海外旅行の意味はこれから大きく変わる
Sonu Shivdasani(ソヌ・シヴダサニ)さん
イギリス出身。トップモデルとして活躍していたスウェーデン人のエバと出会い、訪れたモルディブでその美しい自然に魅了される。1995年、最初のリゾート「ソネバフシ」をオープン。創業当初から時代に先駆けて環境にやさしいラグジュアリーリゾートを目指す。現在はソネバリゾートCEOとして、自身の様々なアイディアをゲストへのサービスに生かしている。
ゴージャスであることが求められ、モノを大量に消費し、使い捨てが当たり前だったホテル業界で“真のラグジュアリーとは何か”を問いながら、まったく新しいコンセプトのリゾート創生に人生を懸けてきたソヌ・シヴダサニ氏。
彼の名・ソヌと妻の名・エバを組み合わせたソネバリゾートを設立して約25年が経つ。
「私たちがこの島を訪れた時、そこには朽ちたホテルがありました。
その躯体を生かし、できる限り自然へのインパクトがないように48棟のヴィラを建築。ソネバフシは1995年の秋にオープンしました。
今でこそモルディブには高級リゾートが数多ありますが、当時のモルディブにあったのは簡素な宿泊施設ばかり。スパを備えたソネバフシはモルディブ初のラグジュアリーリゾートでした。
以来、いくつものリゾートを手がけてきましたが、ソネバフシは最も思い入れのある一軒です。私たちの原点ですから」
これまでいくつもの困難を乗り越えてきたが、コロナウイルスは、かつて体験したことのない規模の危機だといい、自身の出張もすべてキャンセル。
ソネバフシ内の自宅に滞在し、ゲストと共に過ごして数カ月。ひとつの場所に、こんなに長く滞在するのは学生時代以来という。
国をまたぐ旅行の完全復活への道のりが遠いなか、今後、私たちの旅はどう変化するのだろう。
「2021年以降、ビジネスでの海外出張は半減し、レジャーでの海外旅行の意味が大きく変わるだろうというのが私の予測です。
世界人口の約55%が都市で暮らしているというデータがあり、私たちのゲストもほとんどが都市から来ます。
都会暮らしのメリットは、博物館や美術館、演劇や音楽会、買い物などに簡単にアクセスできること。そして友達や知人と気軽に会食できることでした。
しかし史上稀に見るロックダウンによって、そのすべての機会が奪われてしまった。都市での生活に行き詰まりを感じた人も多いでしょう。
これから先、せっかく海外旅行をするならば、都市ではできない経験をしたい、そう願う人が今後、増えることは自然の流れです。そんな時に必要とされるのは非日常。
旅を通して生まれ変われるようなリゾート、つまり身も心も癒やされ、健康で幸せになれる、そんな場所が求められるのです」
Text=Yoriko Kuroda
Edit=Shojiro Yano