フィルムの女性は今の一瞬を存分に生きている。私もそうなりたいと望んでいます

――このシナリオのどのような点に魅力を感じましたか?

 これは愛の物語。とても楽しいラブストーリーです。軽やかさと奥深さ、天空と地上が共存しています。ふたりの登場人物が踊り始めると、ふたつのパワーがひとつになります。人を深く愛している時にこそ感じ取れる何かを、美しいイメージで表現しているのです。N°5 をそういう世界に導くのはとても美しいと思います。

――ヨハン レンク監督との共同作業についてお話しいただけますか?

 創造的、そして心が豊かになる幸せなコラボレーションでした。今回フィルムで語られるストーリーと彼自身との間には、非常に似たものがあります。彼はいたずらで魔法のようなエネルギーを持っているだけでなく、非常に特別な世界を持つ人です。

 その世界とは、常軌を逸していて、魔法のようでもあり、そして夢のようでもある。それらが同時に起こり得る、変動する世界です。

――どのような人物を演じるのですか?

 監督とフィルムについて話し合い始めた時、私たちは今の瞬間を生きたいと望む女性を想定しました。撮影の中、私はその女性の存在を本当に感じていました。自分の感情をとても自由に表現できる、喜びに満ちた女性です。

 そうしたエネルギーを見いだすことが重要でした。まさにそのようなダンスが、ふたりの登場人物の間に突如生じるからです。他の何にも似ていないダンスです。

 そのために、予期せぬ事態にもオープンであり、みずからの生を感じ取る女性を描き出すことが必要でした。

――その女性は、ご自分に似ていると感じますか?

 今の一瞬を存分に生きる女性。私自身、そうなりたいと望む姿です。フィルムのこの女性は瞬間を掴み取れる人――過去へのノスタルジーも、未来への幻想もありません。

 私も楽しく、ポジティブで、自由な人生の道程を辿ろうとしています。そのようにできるかわかりませんが、努力しています。

 この女性は私たちに、どんなことにも可能はあり、夢だって叶えられるもの、と語りかけていると思います。

マリオン コティヤール メイキング写真(10枚)をチェック

2020.10.29(木)
文=CREA編集部