図録には外務省時代の写真が

 まず天皇陛下の幼少の頃から青年になられるまでを紹介するコーナーでは、陛下の学習院初等科時代のランドセルが展示され、これは上皇さまがお使いになられた品をお譲りいただいたものなのだという。

 あわせて、陛下に授与されたイギリス・オックスフォード大学名誉法学博士号の学位記や、真紅のガウンも見ることができた。

 さらに先へ進むと、雅子さまの幼少期の写真とともにアメリカ・ハーバード大学の卒業式やオックスフォード大学ベーリオールコレッジご留学の写真が紹介されていた。

 図録には、外務省で勤務されていた当時、ベーカー米国務長官が来日した際に、通訳を務める雅子さまの写真が掲載されている。

 ご婚約発表後、ハーバード大学時代の友人らから贈られた椅子も展示されていた。

 これは、ハーバード大学在学中に学生寮でお使いになっていた備品の椅子と同型のもので、ハーバード大学の紋章とともに、雅子さまのお名前と卒業年次が彫られているという。

 陛下の学習院大学文学部史学科の卒業論文(「中世瀬戸内海水運の一考察」、展示されていた別表にはブルーの万年筆で書かれたと思われる、細やかな字が記されている)とともに、雅子さまのハーバード大学経済学部の卒業論文(「輸入価格ショックへの対外調整:日本の貿易における石油」)が展示されていたことも印象に残った。

 同じ展示ケースの中には辞書が2冊展示されていて、特にネイビーの「The Concise Oxford Dictionary」は長年愛用されたためか、よく使い込まれた様子で驚いた。雅子さまの辞書は、留学中などに使われたものだという。

 こうして展示された品々からは、雅子さまご自身が海外での経験を大切に思われていることを示すと同時に、2019年の誕生日会見で述べられた「国際的な取組など本人だからできるような取組」を陛下が後押しされるお気持ちが伝わってくるようだった。

 陛下の水に関するご研究についてのご著書や、登山に関連して陛下が寄稿された「岳人」、「山と渓谷」などの登山雑誌も展示されていて、愛子さまもご一緒に「山の日」記念式典に臨席された後、上高地を散策されたことを思い出した。

 会場出入り口付近には、両陛下の書が飾られていた。陛下の学習院高等科3年生の時の書き初めと、2006年の歌会始(お題「笑み」)に詠進されたお歌を題材に制作された雅子さまの書が飾られていて、その筆跡はどちらも見事だった。雅子さまは、長期療養中も月次歌会のためのお歌を継続して提出されていたようだと関係者から聞いたことがある。

 特別展「令和の御代を迎えて」は三の丸尚蔵館にて開かている。前半の会期が2020年2月8日から3月12日まで、後半は3月14日から4月12日の期間で、展示品は入れ替えられるという。

 会場で販売されている図録には、写真のキャプションや即位関係の主な儀式の説明などに細かく英訳が付されている。両陛下の歩みを知るうえで貴重な資料の一つになるだろう。

2020.03.02(月)
文=佐藤 あさ子