日本の男は残念ながら外見的な評価が世界基準ではあまり芳しくなかったが、ここにきて大逆転。
むしろ世界をリードするほどの立場になりつつある。
そのきっかけとなったのが、アバンギャルドな男のメイクだった。
ファイブイズム バイ スリーのおかげで 美しくなった日本の男
2018年デビューのファイブイズム バイ スリーが、今とてつもない存在感を放っている。
完全なるジェンダーフリーにして、実質的には男のメイクを自由奔放に提唱。
まさにそれをきっかけに、日本男子の美意識が一気に開花し始めたのだ。
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日本女性は世界一美しい、とする説がある。少なくとも、日本女性はどこへ行ってもモテる、が定説。
それも、女性としてたおやかで従順という決めつけもありながら、年齢より若く愛らしく、何より肌が美しいがゆえの高評価は昔も今も変わらない。
でも反対に、日本の男性は評価が低い。先進国で最もモテないという不名誉なデータもあったりする。
女性が従順なら、男性は傲慢、そしてまた、背広でお辞儀をしていて、私服があか抜けない、外見のネガティブイメージも手伝ってのことなのだろうか。
しかし事情は180度変わった。
今、日本の男は美しい。いきなり最先端を行く美しさを身に付けようとしている。
サブカルチャー的な側面で世界をリードする日本の男たちが今、独創的な自己表現でもにわかに目立つ存在となって来ている。
アニメが世界を席巻するように、日本の独創的なクリエーションは今や世界の羨望を集めようとしているのだ。
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そんな大逆転を象徴するように誕生したのが、ファイブイズム バイ スリー。
圧倒的に洗練されたジェンダーフリーのメイクアップブランドである。
それこそ女性のメイク通も虜にするような、既存のメイクブランドが嫉妬するような、斬新かつ高機能な品揃え、スタイリッシュそのもののパッケージやビジュアル提案も本当にまぶしいほど。
1つのブランドの登場が人々の意識を変えてしまうことなど、もはや起こり得ないと思っていたのに、このファイブイズムの登場は明らかに何かを変えた。
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それを裏付けたのが、ファイブイズムとEYE SCREAMが共催するパーティーに訪れた男たち。
自ら自在にメイクを施して駆けつけた人。この場に来て初めてメイクに挑戦した人。カップルで参加してメイクを遊ぶ人。
誰もが美しくなることに何の抵抗もなく溺れていくようなパーティーには、実は男たちも皆、美しさによる自己表現をしたかったのだという事実を目の当たりにさせられた。とても感慨深かった。
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右:32歳映像クリエイター。髪色に合わせ明るめの専用マスカラを眉と髭にオン。
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右:普段からCCクリームなどでベースを整えているという28歳の会社員。ブラウン×ダークブラウンで目もとを強調した。
メイクで先行した韓国より アバンギャルドな日本の男
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確かに今の時代、東京の街で美しい男に目を奪われることは少なくない。
それも、彼はひょっとしてメイクしてる? と二度見してしまうような、ありえない美しさに出くわすことがある。
つまりメイクがもはや顔にちゃんと馴染んでいるのだ。
今ちょうどその過渡期なのだろう。来年再来年、それがもう当たり前になっているかもしれないほど、東京はそういうことのスピード感が目覚ましい。
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かくして東京はたちまち世界をリードする立場になった。
男のメイクを先駆けてきた韓国よりも、アバンギャルドな表現が目立つだけに、東京のメンズメイクは今後世界中に新しい価値を発信していくことになるに違いない。
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それにしても日本は変わった。とりわけ東京は変わった。
世界中における日本ブームを受け止めるように、今の東京の若者はちゃんと和の意匠を理解しながら全くオリジナルなクリエーションで世界を刺激している。
日本の伝統芸能に現代的な解釈を加える芸術家はもちろん、理系アーティストなどの次世代の才能も、またMattのような夢夢しい美形ナルシストまで、全く未知の提案は、東京から発信されるケースが多々。
それこそ東京人ですら東京から目が離せなくなった。東京の潜在能力を決して侮ってはいけないのである。
齋藤 薫(さいとう かおる)
美容ジャーナリスト、エッセイスト。女性誌で数多くの連載を持ち、化粧品の解説から開発、女性の生き方にまで及ぶあらゆる美を追求。エッセイに込められた指摘は的確で絶大なる定評がある。この連載では第1特集で取材した国の美について鋭い視点で語る。各国の美意識がいかに形成されたのか、旅する際のもうひとつの楽しみとして探っていく。
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Column
齋藤薫さんは、女性誌で数多くの連載を持ち、化粧品の解説から開発、女性に生き方に及ぶあらゆる美を追求している。この連載では、CREA Travellerが特集において取材した国の美について鋭い視点で語っていく。
Text=Kaoru Saito
Photo=Atsushi Hashimoto