英国の海辺町がモデル
遊歩道は憩いの場に

 通りを抜けると、ノーフォークパインで縁取られた、約1.5キロ続くマンリービーチが目の前に開けます。

 マンリービーチのリゾート開発が始まったのは、19世紀の頃。英国生まれの政治家ヘンリー・ギルバート・スミスの主導で、イングランドの海辺の町ブライトンをモデルに街づくりが始まりました。

 マンリービーチにはノースステイン、サウスステインなど、“ステイン”という言葉が含まれている地名がいくつかあります。これはフラマン人の言葉で“石の場所”という意味。

 かつてのブライトンは海岸線の一部が石のプラットホーム状になっていて、フラマン人の漁師たちが船を引き上げ、網を干すのに利用していました。やがてブライトンでは石のプラットホームが遊歩道に変化していき、市民たちの散歩道となったそうです。

 現在のマンリービーチもノーフォークパインが日よけとなった遊歩道に、ベンチが並び、人々の憩いの場となっています。やや強気のカモメがくつろぎの時間を邪魔しにくるかもしれませんが。

 ザ・コルソ周辺もイングランド様式の名残を感じます。かつては街灯に石油ライトが使われ、トロピカルなヤシの木ではなく、松の木が植林されていたそう。

 イングランド様式の1859年建造のホテル・ステイン、1880年建造のニューブライトンホテル、どちらも改装を重ねてはいますが、ホテルとして現役で活躍しています。

2019.09.21(土)
文・撮影=古関千恵子