シチリア島内陸部
“美しい小さな村”の歴史

 シチリア島北西、州都パレルモの背後に連なるマドニア山脈にひっそり佇むガンジー村。

 パレルモから北岸沿いの高速道路をひた走り、内陸部に向かい延々と続くなだらかな丘陵地帯を走り抜けると、約2時間で到着できます。

 広大な田園風景の只中に現れる小高い丘の斜面をぎっしりと埋め尽くす石造りの家々。現代から取り残されたように佇む村の歴史は古く、紀元前の古代ギリシャの青銅器時代に遡ります。

 9世紀からはシチリア島の他の地域と同じく、アラブ支配から始まり、11世紀にはシチリア王国の一部に。13世紀から貴族ヴェンティミリア家の領地となり、15世紀以降はスペイン王国の支配下に置かれました。

 大聖堂を中心に広がる旧市街の街並みは、14世紀に形成されたものです。

 1758年には、旧市街中心地に位置するボンジョルノ宮殿に文化・芸術・思想の中心となるフリーメイソンの拠点「アカデミー・オブ・インダストリアス」が創設され、シチリア各地に影響を与える活動をしたと言われています。

 豊かな恵みの島シチリアを体現するマドニア山脈に抱かれ、世界遺産エトナ山を望む小さな村の旧市街地区の人口は、現在1,800人。

 今と昔が交差する細い坂道と階段が入り組み、まるで迷路のような旧市街で営まれる静かな毎日は、訪れるものにとっては非日常の風景でもあります。いつか、イタリアのこんな風景に出合う旅はいかがですか?

岩田デノーラ砂和子

2001年よりイタリア在住のライター/コーディネーター/通訳。現在はシチリア州パレルモ在住。メディアから個人旅行者まで対象の、イタリア専門コーディネートチーム「La Vacanza Italiana」を主宰・運営。イケメン犬ボン先輩とヤラカシ系イタリア人の夫との日々を綴るBLOG「ボン先輩は今日もご機嫌」も大人気。イタリア関連書籍も多数手がけ、イタリアで5万部超えベストセラーの日本語版『I LOVE TOKYO』がただいま絶賛発売中!

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文・撮影=岩田デノーラ砂和子