大草原でアフタヌーンティーを

13本の幹から成るバオバブの木。その果実はオレンジよりもビタミンCが多く、牛乳よりカルシウムが豊富だ

 夕方のサファリに備えて、アフタヌーンティーにて腹ごしらえ。ダイニングだけでなく、趣向を変えてサバンナにテーブルをセットすることも。今日は、バオバブの木陰にテーブルが用意された。真っ白なリネンに食器、サンドウィッチはもちろんカナッペ、スコーンのほかにもスウィーツいろいろの至れり尽くせり。

 話題はもちろん、「何を見たいか」。人気はやっぱり、ビッグキャットと呼ばれるライオンやレパードだ。日中、彼らはほとんど活動しないので、薄暮になってからが勝負。朝のサファリで見かけた、樹上に寝ていたレパードはどこに行っただろう。

豪華なアフタヌーンティーは、味もなかなか。戸外で食べるといっそうおいしい

 そんな賑やかなゲストたちを見下ろすバオバブの木は、この辺りで一番大きい。14人が手をつなぎ、やっと取り囲むことができるという。『星の王子さま』では、“剣呑”と形容されているが、この木は実際、フルーツや新芽を食べられる、とても有用な木なのだ。古代には、中空の幹を家や店として使っていたという。

 少し足を延ばすと、古代サン人が描いた絵を見ることもできる。ちょっとしたロッククライミング気分で岩場を登り、1500年以上も昔、彼らが見たであろう動物の絵を見る。彼方を見下ろせば、古代をさらにさかのぼり、人類が誕生した大地を感じられる。われわれはみな、この母なる大地から“グレートジャーニー”、はるかなる旅に出たのだった。

左:サン人のロックペインティングのある岩山からは、サヴーティ周辺が見渡せる。多くのロックペインティングは洞窟に描かれることが多いが、ここではむき出しの岩肌に描かれている。長い時を経て、洞窟が崩れたのかもしれないのだが。
右:絵は上から、セーブルアンテロープ、象、オオカモシカ。右側のうねうねっとしたのは蛇だ。樹液と蛇の血や毒を混ぜたもので描かれているらしい。なんか、素朴でいいよね

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photo:Yuji Ono
realization & text:Satsuki Ohsawa
special thanks:Embassy of Botswana / Cathay Pacific Airways Ltd.