“Nipponキュイジーヌ”は
まさに皿の上の芸術!

“Nipponキュイジーヌ”は、日本の食文化を支えてきた魚に着目。こちらはゴマサバ。ほかにもアンコウ、カスベなど、フランス料理ではほとんど使われていない魚も登場。

 新しい日本旅館として注目を集める星のや東京では、2017年3月から新しいスタイルのディナー“Nipponキュイジーヌ”が登場。フランス料理の世界で腕を磨いてきた浜田統之料理長がつくりあげる、日本ならではのフランス料理に舌鼓を打つ。

左からコハダのタルタル、オニオングラタンスープ、鰯とじゃがいもの春菊のコロッケ、鰹のブータンと林檎、柿とクリームチーズの百合根饅頭。

 浜田料理長が皿の上で表現する芸術的な料理。たとえばコースの一品「“石” 五つの意思」は、酸・旨・苦・辛・甘の五味を、それぞれ小さなひとつずつの料理に詰め込み、温度の異なる石の上に盛りつける。繊細な技術が織りなす料理は、味わいもまた繊細。

雑魚のチュイル。これまで市場に出回らなかった魚や、日の目を見なかった魚にも目を向け、斬新な一品に。器には江戸時代の神代木が現代の木とともに使われている。

 器は、浜田料理長と交流のある陶器や漆器、木工の職人が、和食器や日本をイメージしてつくったオリジナル。「星のや東京」建設時に地中から掘り出された、江戸時代の大名屋敷の柱と思われる神代木も、美しい器に生まれ変わった。

 これらのこだわりの器も、極上のひと皿をさりげなく演出する。

文=榎本市子