若手料理人が次々と独立を果たす近ごろの京都。

 確かな技をもちつつ、個性はしっかり打ち出す。その加減はどの店も絶妙で開店と同時に予約困難な店となってしまうのも納得せずにはいられない。

 予約が取れたら京都へ、そんな楽しみ方も良いものだ。


心地よく期待を裏切る
料理をお好みで

●実伶(みれい)

“菜の花と蒸し鮑の酢味噌和え”2,500円。ムチッと歯を受け止める鮑の弾力が素晴らしい。

 好きなものを好きなだけ、というスタイルは京都において時に最上のもてなしになる。

 朝食・昼食はもちろん、甘いものの誘惑も多い京都で一日を過ごせば夕食時に空腹でいられることはほぼないからだ。

ゆったりした椅子にも、もてなしの心を込めている。

 そんなときこそアラカルトの出番。

 しかもこちらの品書きには50以上の料理がぎっしり。迷いながら選ぶ楽しみも約束してくれる。

“蛤真丈とうるいの煮物椀” 1,500円。

 「アラカルトって難しい料理は好まれなくて、馴染みのものを頼まれることが多いんです。それをどうやって出してくるかが期待される。そこで、おっと思わせられるかが腕の見せどころです」と店主の中尾雄三さん。

店名は画家のフランソワ・ミレーに由来する。店内を彩るのは主張しすぎないアートピース。

 祇園の割烹で培った自信をのぞかせる。なるほど品書きに書かれた料理名は極めてシンプル。

セリ、ふきのとう、たらの芽を使った“車海老 山菜かき揚げ” 2,200円。

 ところが例えば“車海老 山菜かき揚げ”なら、塩代わりに自家製からすみがたっぷりかけられ、頭は別に揚げて添えられているといった具合に供される。

 想定外の仕立てに思わず笑みがこぼれる、そんな品尽くしなのが何よりの贅沢だ。

京都御苑に近い住宅街にある。地下鉄丸太町駅から徒歩すぐ。

実伶(みれい)

所在地  京都市中京区竹屋町通室町東入ル亀屋町143-2
電話番号 075-251-2007
営業時間 17:00~22:30(22:00 L.O.)
定休日 水曜
※要予約

Feature

今の京都で輝く
若手料理人の新店へ

Text=Mako Yamato
Photo=Takashi Shimizu

この記事の掲載号

あらためて京都

CREA Traveller 2019年春号

今になって知る。 素敵な仕掛け
あらためて京都

定価1,110円 (税込)

詳しくは
こちらへ

CREA Traveller 2019年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在は異なる場合があります。