若手料理人が次々と独立を果たす近ごろの京都。

 確かな技をもちつつ、個性はしっかり打ち出す。その加減はどの店も絶妙で開店と同時に予約困難な店となってしまうのも納得せずにはいられない。

 予約が取れたら京都へ、そんな楽しみ方も良いものだ。


計6種の節を配合し
濃淡をコントロール

●木山(きやま)

中皿は赤貝と鮑。スッポンの煮こごりを添え、食感と風味に奥行きをもたせる。

 シュッ、シュッと小気味よい音がカウンターに響く。店主の木山義朗さんが、特注の削り器でかつお節を削る音だ。

カウンター内で削られたばかりのかつお節やまぐろ節は、つややかで美しい薄桃色。口に入れた途端、旨みが花開く。

 日本料理の礎となる出汁。「お客様の目の前で節を削って出汁を引くことで、最も風味よく仕上げることができます」と木山さんは話す。

6種の節と対話するように削り、最高の出汁を引く。

 使用するのはまぐろ節、かつお節の荒節と本枯節、さらにそれぞれの雄節(背側)、雌節(腹側)と、計6種の節。

 個体差を見極めて削り方を変え、食材に合わせた配合で濃淡をコントロールする。

カウンター9席のほか、個室2室も。

 味わいを支えるもう一つの要素が水。土地の恵みである、まろやかな超軟水の井戸水は木山さんの宝だ。

 出来たての黄金色の出汁は、まず酒杯で振る舞われる。口に運べば、澄み渡るような風味の向こうに奥ゆかしい旨みの余韻を残す。

コースの最初に供される飯蒸し。この日はハマグリと百合根で。

 出汁の上質さもさることながら、16年の長きにわたって名店「和久傳」で築いたキャリアは随所に生きている。

 季節の食材をある時は繊細に、ある時はダイナミックな仕立てで供するコース運びも巧み。

ホタテ真丈とばちこの椀物。昆布とまぐろ節を主体とした淡白な出汁を合わせ、豊かな磯の香りに寄り添わせる。

 帰りに次の予約を取るお客が多いのもうなずける。

2017年4月オープン。

木山(きやま)

所在地  京都市中京区堺町通夷川上ル 絹屋町136 ヴェルドール御所1F
電話番号 075-256-4460
営業時間 12:00~13:30、18:00~19:30(共に最終入店)
定休日 不定休
※昼のコース 10,000円、20,000円、夜のコース 20,000円(共にサ10%別)

Feature

今の京都で輝く
若手料理人の新店へ

Text=Aya Honjo
Photo=Takashi Shimizu

この記事の掲載号

あらためて京都

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在は異なる場合があります。