若手料理人が次々と独立を果たす近ごろの京都。
確かな技をもちつつ、個性はしっかり打ち出す。その加減はどの店も絶妙で開店と同時に予約困難な店となってしまうのも納得せずにはいられない。
予約が取れたら京都へ、そんな楽しみ方も良いものだ。
記憶に残る料理を作るため
一皿に使う食材は二つ三つに
●Droit(ドロワ)
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多皿系とは逆をいく4皿構成の料理はどれも白い皿の上で凜とした姿を見せる。
モダンでありながら、口にすれば極めて伝統的なフレンチの味わい。ギャップがもたらす軽い驚きが心地よい料理を作るのは、フレンチ一筋の森永宣行シェフだ。
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「フォンやシャルキュトリー、郷土料理などの昔から受け継がれているフランス料理が大好きで、長く色褪せないのには意味があると思っています。特にソースは大切にしたいです」
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ミニマムな盛り込みにも意図するところはある。
「何を食べたか記憶に残る料理を作りたいから、一皿に使う食材は二つ三つに」
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それだけに素材探しにも余念がない。
大原野の農家の野菜、鳴門の漁師から届く魚介、沼津の肉職人の肉。作り手の顔が見える食材を選ぶのも、森永さんが大切にしていることだ。
その姿勢は店の構造にも見てとれる。扉を開けてまず目に飛び込んでくるのは、隠すところのない磨き上げられたキッチン。
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「どんな人がどう料理しているのか分かった方が、安心して食事を楽しんでいただけると思うのです」
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Droit(ドロワ)
所在地 京都市上京区寺町荒神口上ル東桜町49-1
電話番号 075-256-0177
営業時間 17:00~21:00 L.O.
定休日 不定休
※要予約
https://www.facebook.com/droit.kyoto/
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Feature
今の京都で輝く
若手料理人の新店へ
Text=Makoto Ito
Photo=Takashi Shimizu