ジャコメッティが使い続けた極小のアトリエ空間。中央は死の間際に手がけていた粘土製の坐像。 ブロンズ製で知られる《犬》の石膏の試作も。 ほとんどが初公開の約70の作品ほか、眼鏡や瓶、筆や絵の具、吸い殻の残る灰皿まで、作家の死後に封印された創作の現場が現代に蘇る。 モンパルナスの小径に佇む一軒家。 ガラスで囲まれ、保存されるアトリエ空間。 【秘蔵作品に静かに向き合う特別な時間】 極端に引き伸ばした線のような独自の身体表現を、石膏の小作品で観るからこそ、作家の手の動きが感じられるかのよう。財団所蔵の約350の彫刻から選び抜いた未発表作品。アルベルト・ジャコメッティ《ケージの中の小像》1950年制作。 【個性に満ちた高さ10cmの4人の女性像】 セクシャリティをテーマにアネット・メサジェが展示室「無秩序の部屋」に選んだ4人のロンドンの娼婦像。極めて小さな作品にも存在感を宿す作家の表現力に魅入ってしまう。アルベルト・ジャコメッティ《台座上の4つの小像より、ロンドンの小像、Aモデル》1965年制作。 「出会いの部屋」には、いたずら書きのように腕や頭部を描き足したA.ロダンの作品集。本や封筒、広告やお菓子の包み紙の裏など、デッサンに明け暮れた作家の日常が眼に浮かぶ。 「出会いの部屋」には、いたずら書きのように腕や頭部を描き足したA.ロダンの作品集。本や封筒、広告やお菓子の包み紙の裏など、デッサンに明け暮れた作家の日常が眼に浮かぶ。 館内の特別展への入り口。 【母と子が対峙する《鼻》の謎】 「死」をイメージしたといわれるジャコメッティの《鼻》にメサジェ作の“子”がケージの外に対峙し“生と死”の反復を生み出すとの解釈も可。アルベルト・ジャコメッティ《鼻》(右)1947年制作、アネット・メサジェ《母と子》(左)2018年制作。 【廃墟を彷徨う男たち】 メサジェの代表作《伝説不在》にジャコメッティの《犬》《歩く男》ほかを加え、刻々と時を刻む時計と廃墟の街を映し出す。展示室「伝説の部屋」より。アネット・メサジェ《伝説不在》2011-2012年制作。 母、妻、メサジェ共通の名の下に、彼女たちの作品を集めた「アネットたちの部屋」より。立像のアネットとメサジェ作《リスのパレード》。全裸の妻と網に覆われたメサジェ自身を対峙させたアイロニー。 L'Institut Giacometti (ジャコメッティ協会) 記事を読む