他にもお客さんが買い占める料理があるよ、と鴻哥。

 紅麹で豆腐を発酵させた中国おなじみの調味料・南乳でゆば、白菜、椎茸等を和えた「南乳粗齋」。ベジタリアン料理で、本来香港人がおおみそかに食べる伝統的なものだ。この店らしく、あっさり仕上げの家庭的な味で評判の一品。

 また3時間かけて煮込む広東式スープ「老火湯」はMSGを使っておらず、空港で働く香港人が健康的な美味いスープを求めてやってくる。

「鴻哥小吃」空港店の客は、中国人に限らず国際色豊かだ。

 旧態依然としたおかずを、良さを失わないよう今風にアレンジする、その考えが店の様々なメニューに生きている。だから外国人に馴染みの薄い鹵水を使った料理や家庭的なおかずを出すこの店が、国際的な評判を得たのだろう。

 香港を訪れる日本人観光客が広東料理でなく、潮州料理を食べる機会はリピーターでもない限り少ないだろう。少し余裕を持って空港に向かえば、旅の仕上げにちょっと珍しい食体験ができる事請け合いだ。

 

阿鴻小吃(Hung'sDelicacies)
3P116~117,Level3,Skyplaza,Terminal2,Hongkong International Airport
営業時間 7:00am~22:00pm
電話番号 3197-9331

久米美由紀(くめみゆき)
東京より香港暮らしの方が長くなった在住フォトグラファー。街中だけでは飽き足らず、海の底、山の中のモノまで撮って、食べ尽くします。

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text:Miyuki Kume