一見カンタン! 実はフクザツ。
NISA(少額投資非課税制度)使いこなし法

(1) 対象は20歳以上1人1口座まで

 その年の1月1日時点で20歳以上の日本国内に居住する人が利用できる。原則として1人1口座限定。当初4年間は金融機関をかえることができない。2015年1月以降、専用口座を毎年変更できるようになる予定。

(2) 年間100万円までの投資からの収益が非課税に

 毎年、新規投資額100万円までが非課税に。未使用枠の翌年以降への繰り越しはできない。5年後、新規のNISA口座に移管する額が100万円未満の場合は、追加投資できる(移管額80万円の場合、20万円)。

(3) 最長運用期間は5年間。口座開設は2023年まで限定

 非課税になる投資期間は、投資した年から最長5年間。もちろん、途中で売却してもOK。ただし、売却した部分の枠の再利用はできない。NISAの口座開設は2023年までの10年間。NISAの利用は2027年まで。

【結論】
・利益が生まれた時点で勝ち逃げが◎
・ミドルリスク・ミドルリターンの投資向き

 利益を全額得られるというメリットの一方で、損が出た場合にNISA以外の口座で運用する金融商品と“損益通算”できないというデメリットが。賢い利用法は「利益がある程度出たら、その都度売却」。開始5年後に損が出ている場合は、2023年までは新たなNISA口座で投資を続けるのが得策。2024年以降、課税口座に移行すると、損を取り戻すのは難しい。「非課税になるからと言って毎年、新規投資枠100万円を目一杯使う必要はありません。NISAはミドルリスク・ミドルリターンの投資向きです」(深野さん)。

お話をうかがったのは……深野康彦さん (ファイナンシャルプランナー)

 ファイナンシャルリサーチ代表。クレジット会社、独立系FP会社を経て1996年に独立。近著に『1万円から始めるETF投資』(日本経済新聞出版社)など。

2014.02.07(金)
文=生島典子
イラスト=浦野周平(Shu-Thang Grafix)

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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