天高くそびえるビテクスコファイナンシャルタワー

 夜景自慢のスポットは数あれど、ほかとは一線を画した、ホーチミン市最高層のラウンジバーが2012年12月に誕生した。経済発展著しい同市の顔として、2010年に完成・オープンした、ビテクスコファイナンシャルタワー。高さ262メートル、68階建てのこのビルは、円錐形の外観と、外壁から突き出た円盤状のヘリポートが特徴的なデザインとなっている。そして、そのヘリポートのある52階にできたのが「アルト・ヘリバー」だ。

 地上191メートル、全面ガラス張りで360度市内を見渡せる究極の夜景スポットであるヘリポートバーへは、ビルの正面入り口から向かう。1階のレセプションで来店を伝えると、レセプショニストの先導のもと、セキュリティのかかったゲートを通りエレベーターへ。「最高の夜景をお楽しみください」と笑顔のスタッフに見送られ、ホーチミン市でも類を見ない高速エレベーターで50階まで一気に上る。途中でエレベーターを1度乗り換えれば、ついにお目当ての52階に到着だ。

夕闇に沈むホーチミン市は、一日の中で最も美しい姿となる

 扉が開くと、シックな黒い制服に身を包んだスタッフがお出迎え。ほのかに灯る照明に浮かぶ店内は、しっとりとした大人の空間。そしてその向こうには、どこまでも続くホーチミン市のきらびやかな夜景が広がっている。まずはぐるっとひとまわり。人民委員会庁舎、ベンタン市場、ナイトクルーズの船がゆったりと行くサイゴン河……。すべてがきらきらと輝き、バイクが行きかう昼間とはうって変わった幻想的な景色に、ここがベトナムということを忘れてしまいそうになる。

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text&photographs:Noriaki Sugita