長州藩主の「御殿湯」にもなった由緒ある温泉
山口県下関から北に向かって約25km、四季折々に美しい表情が楽しめる川棚は、国内でも有数の風光明媚な温泉地。「下関の奥座敷」などと称され、江戸時代には長州藩主である毛利氏の御殿湯があった。漂泊の俳人、種田山頭火は川棚を称賛し、ここを終生の地と願ったらしい。また、世界的に有名なピアニストのアルフレッド・コルトーは、1952年にこの地を訪れ、その自然の美しさに魅了された。響灘の沖合に浮かぶ無人島・厚島が孤留島(コルトー)と呼ばれるのもその所以である。
癒しの湯でキレイになったあとは、本場「ふく」を堪能
鬼ヶ城連山の山裾に開けた緩やかな丘陵地、その一角に川棚グランドホテルがある。明治元年(1868年)の創業以来、訪れた人々にきめ細やかなおもてなしを提供してきた。響灘に浮かぶ厚島やたくさんの湖を臨むこの地には、800年もの昔よりラジウム泉が湧き続けている。泉質は「弱アルカリ性ナトリウムイオン」が含まれ、角質を軟化し肌をすべすべにしてくれるそう。また、ラジウム泉は抗酸化力を高め、老化防止にも効果的だとか。
川棚の魅力は温泉だけではない。自然が育んだ豊かな食材の宝庫でもあり、季節に合わせた旬の味覚を堪能できる。その代表的なものが「ふく」。一般的に言う河豚(フグ)のことを、地元では口福の象徴として「ふく」と呼び昔から親しんできた。刺身は弾力と端麗な甘みを引き出すために、やや厚めに盛り付けてある。橙と紅葉おろし、それに地産の「安岡ねぎ」をたっぷり添えていただく。今年の冬からは、唐揚げや鍋といった定番メニューに加えて「とうとうみ」という皮部分のしゃぶしゃぶも登場した。フグには3枚の皮が付いており、身に付いているのが「身皮」で黒い外側にあるのが「鮫皮」、その中間にある皮を「とうとうみ」と呼んでいる。語源は、戦国から江戸時代にかけて栄えた三河(身皮)の隣国だった遠江(とおとうみ)から来たらしい。噛むほどに旨味が滲みだしてくる逸品である。
愛犬と一緒にくつろぎの休日を
和室やバリアフリー、温泉付きの離れなど、多彩に用意された客室は、広々とした間取りと木目を基調とした落ち着いた内装が特徴。友人や家族、また大切なパートナーと共に充実した滞在が可能だ。特に、愛犬と共に宿泊できるプランが人気。「わんファミリー温泉付山荘」は、一戸建てタイプの客室で、和室、リビング、洋室に犬専用のスペースが付いている。室内はフローリングと畳タイル、ビニールレザー製のソファーなど、汚れを気にせず快適に愛犬(但し10kg以下)と過ごすことができる。客室は全て天然温泉付き。鬼ヶ城連山の檜を贅沢に使った浴槽にゆったりと身を預けて、川棚を愛したかの偉人たちに想いを馳せる。そんな安穏とした時間を是非とも愉しみたい。
川棚グランドホテル
住所 山口県下関市豊浦町川棚4912-1
電話番号 083-774-1111
URL www.kgh-otafuku.co.jp