雲海に沈む夕日を眺める神秘の一瞬

雲海に沈む立山の夕日。手前で光っているのは、弥陀ヶ原の「餓鬼の田」。無数の小さな池がオレンジ色に染まる

 ホテルから続く石畳の遊歩道を歩いていくと、不意に目の前が開け、立山の峰をバックに、エメラルドブルーの水をたたえたみくりが池が姿を現した。夢にまで見た光景が、そこにあった。時間をかけて、ゆっくりと池のまわりを一周する。遊歩道の両側には背の低いハイマツの群生がひろがっている。朝夕には雷鳥に出会うこともあるという。すれ違う人と自然に「こんにちは」と声をかけあう。都会では考えられない体験だ。ホテルに戻ると、ちょうど雲海に夕日が沈むところだった。オレンジ色に染まった雲の海を見つめていると、自分の中で何かがゆっくりと溶けていくような気がした。

左:美女平の原生林も野鳥の宝庫。双眼鏡を忘れずに
右:日本で確認されている雷鳥は3000羽。うち、立山だけで300羽といわれる。雷鳥に出会えたら、きっといいことが

photo:Atsushi Hashimoto
text:CREA Traveller
special thanks:Toyama city(www.city.toyama.toyama.jp)