同性婚の先駆カップルが築く新しい家族の絆

Sandy Russo(サンディ・ルッソ) ――不動産業 75歳
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Robin Young(ロビン・ヤング) ――不動産業 60歳

 1979年2月、 当時ボストン在住で23歳だったロビンは、ルームメートを訪ねてきた15歳年上のサンディと電撃的な恋に落ちた。「サンディは本当に素敵で、まるでミック・ジャガーそのものだったわ!」と、うれしそうに回想する。そして2カ月後にはNYへ引っ越し、8月にはサンディが体外受精で妊娠。

「まずは私が、そして1年半後にロビンが妊娠した。ドナーは私たちの意思を理解してくれたゲイの男性たち。当時、レズビアンのカップルで子どもを持つ例はほとんどなかったんです」

 母親がふたりという新しい家族の形は95年に「ニューヨーク・タイムズマガジン」のカバーストーリーにもなったが、子どもたちが幼い頃は障害も多かった。

 「ベビーシッターに来てもらうのも大変だったし、学校でも先生たちに私たちが本物の家族であることを理解してもらうのに時間がかかったわ」とロビンは振り返る。サンディいわく「私たちの住まいがNYで、しかもLGBT中心地のようなウエストヴィレッジにあるからまだ良かったようなものの、常に世界に向けて、自分たちが家族であることを説明し続ける努力が必要だった」という。

 ふたりの役割分担は明確だ。せっかちで喧嘩っ早く、ニューヨーカーの典型のようなサンディが外で働き、穏やかで優しい気質のロビンが家事や子育てを主に担当してきた。離婚率の高いアメリカで30年以上も添い遂げている秘訣は、「もちろん普通の夫婦のように喧嘩もします。でもどんな時もじっくり話し合うことで乗り越えてきた。リレーションシップにおいては、カップルはもちろん、子どもや家族でも話し合うことが何より重要」とロビン。「私たちは家族を持つことを自ら計画し、選択してきた。それは純粋に子どもが大好きで、男女カップルと同じように家族を持ちたかったから。結果的にパイオニアのような存在になったけれど、自分たちにとっては自然な流れだったんです」とサンディは語る。サンディの運転するヴェスパの後ろに乗るロビン、NYでも稀に見るクールなカップルだ。

●editor's recommend

サンディが「これ好きだわ!」と絶賛してくれたのは、自らのティファニーのアンティークブレスレットとマッチする名作リング。ティアドロップサングラスやシャツとも好相性。「ミルグレイン」リング〈左〉(PT×YG) 127,000円、〈右〉(PT) 138,000円

2016.07.15(金)
Photo=Hiroyuki Seo(aosora)、Fumito Shibasaki(donna/still life)
Text=Akiko Ichikawa
Hair & Make-up=Tamami Mihara
Edit & Styling=Mami Sekiya
Coordination=Yasuyo Hibino(fish*co.)