喫茶文化が愛されている台湾では、暮らしのなかに茶藝が息づく。“文人好み”といわれ、風雅とともにある台中の茶世界を訪ねる。

» 第1回 静やかな台中のオアシス「無為草堂」
» 第3回 名陶が揃う蔡家のギャラリー「廣達藝苑」

◆ 秋山堂 (チョウシャンタン)

あのパールミルクティーの創始者が茶の原点に回帰

左:店は美術館内の半地階。美術館の前庭に通じるテラスでもテーブルを用意。
右:意外に広い店内。窓外からの光が心地よく、時が経つのを忘れる。

 今や台湾スウィーツの代名詞となったパールミルクティー。その元祖である台中「春水堂」の創始者が、茶の原点への回帰を目指して、秋山堂を開いた。場所は國立台灣美術館内。美の余韻と茶を味わうには絶好の場所となる。

左:興味深い茶のエピソードが尽きない林美君さん。
右:林さんのお点前は流れるように美しい。

 竹を巡らせた窓から日が射し込む店内は、陰影に富み、清雅。棚には作家物の茶器が飾られ、奥のフロアに茶席が設けられている。扱う茶は希少な高山茶のなかでも、特に珍重される春茶と冬茶のみ。阿里山や杉林溪、樟樹湖の烏龍、文山包種などを厳選する。

茶のレッスンは1時間。料金は1名につき500元、電話予約が望ましい。

 店では最近、誰もが参加できる茶の教室を始めた。ここでは店長の林美君さんが台湾茶の楽しみ方を伝授する。林さんによれば茶は3口で味わうもの。ひと口目で浮面香を感じ、次に杯底香を口中に広げ、最後は深い冷凝香を堪能するのだ。試してみると、茶との一体感に酔う。

左:春茶、冬茶の香りは至高。茶菓子も美味。
右:「標高1500m以上の山で育つ高山茶は、台湾人が好む甘い花の香りが広がります。まろやかな口当たりも良いですね」と林さん。店では茶葉も販売。各600元~/150g

 「台湾では“無茶不楽”ですよ」と師匠。茶の道は果てしなく、豊かだ。

展示の茶器は購入もできる。

秋山堂(チョウシャンタン)
所在地 台中市西區五權西路一段2號 國立台灣美術館B1 下凹庭園
電話番号 04-2376-3137
営業時間 11:00~21:30
定休日 無休(旧暦大晦日・元日は休み)
URL http://chioushantang.blogspot.tw/

文・取材=上保雅美
撮影=小野祐次
コーディネイト=トップタイワン・メディアファクトリー