エキゾチックな街が生まれた歴史的背景とは?

美しいアイアンレースの建物が並ぶフレンチ・クォーター。

 アイアンレースと呼ばれる美しいレース模様の鉄柵のついた建物が並ぶフレンチ・クォーターを歩きながら、ダイアンさんがルイジアナの歴史を遡り、その多様性を語ってくれた。

 先住民族の住んでいた土地を最初に見つけたのはスペインの探検家だが、開拓地としてルイ14世にちなんで「ルイジアナ」と名づけたのはフランス人。彼らが西アフリカのセネガルから奴隷を連れてきたのだった。またドイツ人も18世紀初頭には農作地を川沿いに拓いたという。

セントルイス大聖堂は、ヨーロッパの雰囲気を漂わせるスペイン建築。

 18世紀の七年戦争の後にスペイン領となるもフランス人移民は数多く、カナダのノバスコシア州など、アカディア地方からも多く人が移ってきた。彼らは、今日ケイジャンと呼ばれる。その後、スペインからルイジアナを取り戻したナポレオンが、この地をアメリカ合衆国に売却したのだった。

陽気なニューオリンズ・ジャズが昼間から流れる街角。

 こんな歴史的背景を持つルイジアナ州ニューオリンズの街はヨーロッパとアメリカの異文化社会の縮図のようにも見える。

左:注目の若手シェフ、コーディ・キャロルさん。
右:ボイルドエッグ入りのシーザーサラダとフライド・オイスター。カキはハチミツにつけてから揚げてある。南部の人は甘じょっぱい味が好きなよう。

 ニューオリンズでのランチは、ルイジアナ・シーフード料理の店「サック・オ・レ」で。店名は、ルイジアナでとれる魚の名前。ルイジアナ州の州都であるバトンルージュ近くにすでに1号店を持ち、2店目をここニューオリンズの再開発エリアに開いたという若手実力派シェフの店だ。

アリゲーターの唐揚げは、マラトンという野菜(右)をマッシュしたものにのせて。まるでチキンのように柔かく、言われなければ何の肉か分からない。

 アリゲーター(ワニ)の唐揚げにソーセージ、カエルの足、フライド・オイスターなどなど、まさに南部のディープ・テイストが洗練された形で供される。

Sac-a-Lait(サック・オ・レ)
所在地 1051 Annunciation St, New Orleans, LA 70130
電話番号 +1-504-324-3658
URL http://www.sac-a-laitrestaurant.com/

 ミックス・カルチャーの魅力を放つニューオリンズの街から出て、さらにディープな旅へ。次回は、プランテーションハウスに泊まり、いかにも南部な山盛りの茹でたザリガニを食べに行く。

【取材協力】
ルイジアナ州観光局

URL http://mrcusa.jp/states/louisiana/

ミシシッピ・リバー・カントリーUSA 日本事務所
URL http://www.mrcusa.jp/

小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel