俳優としての今後、歌手としての今後

――来年30歳を迎えるにあたり、今後の目標であるとか、目標とする先輩俳優さんなどはいらっしゃいますか?

 先ほどの映像の話じゃないですが、ミュージカルだけじゃなくて、ストレートプレイだったり、いろんなタイプのお芝居をやっていきたいですね。鹿賀さんや「スクルージ」で共演させていただく市村正親さんなど、先輩の役者さんはみなさん、素敵なところがそれぞれ違うんですよ。だから、得るものは大きいですね。つまり、「この人みたいになりたい」というよりは、鹿賀さんや市村さんなど個性のまったく違う人たちの「ココが好き!」という思いが、自分の中にいっぱいある感じですね。

――歌手としての目標みたいなものはありますか?

 歌手としては「エスコルタ」としてのほかに、ソロのテノール歌手としても活動しているんですが、それぞれ発声が違うんですよ。今はミュージカルをするときに意識して変えている感じです。どちらかに絞るのではなく、どちらも大切にしたいですね。そのなかでも、基本となるクラシックの正しい発声はより突き詰めていきたい。それから、ミュージカルのお客さんに、もっとクラシックを聴いてもらいたいですね。

――最後に、田代さんにとって「音楽」とはどういった存在でしょうか?

 常に僕の中にあるものですし、大切な存在です。辞めるって発想はこれまで一回もなかったんですよ。

田代万里生(たしろまりお)
1984年1月11日生まれ。長崎県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科テノール専攻を卒業。学生時代からオペラ・オペレッタを中心に活動するなか、2007年「エスコルタ」メンバーとしてCDデビュー。さらに、09年には「マルグリット」でミュージカルデビューを果たした。音楽の教員免許(中学・高校)資格を持つほか、絶対音感の持ち主でもある。今年12月にはミュージカル「スクルージ」に出演予定。

『エニシング・ゴーズ』
英国紳士と結婚する社交界の令嬢・ホープ(すみれ)を追う、ウォール街で働くビリー(田代万里生)。彼に夢中のナイトクラブのスター歌手・リノ(瀬奈じゅん)。そして、指名手配中のギャング・ムーンフェイス(鹿賀丈史)。そんな彼らが豪華客船で一堂に会したとき、何かが起こる!?
www.tohostage.com/anything/index.html
2013年10月7日(月)~28日(月)東京・帝国劇場、11月1日(金) ~4日(月・祝) 大阪・シアターBRAVA! にて上演。

くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2013.09.20(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Tadashi Hosoda
hair&make-up:Yasuhiro Fujii(igloo)