35歳の内気な独身男・健太郎の初恋と暴走を描いた『箱入り息子の恋』で、映画初主演を務めた星野源。音楽家・文筆家としても活躍中の彼が、本作で初めて挑んだ演技アプローチとは?

将来なりたい職業は“柄本明”

――中学1年のときに、音楽を始められた星野さんですが、そのきっかけは何だったんですか?

 アマチュアではあるものの、両親がずっと楽器をやっていて、その影響は大きかったとは思います。でも、実際に音楽を始めたきっかけとしては、中1のときにクラスのみんながギターとか弾き始めたから(笑)。「これではマズい、おいて行かれるな」と思って、ギターを始めました。もちろん、女のコにモテたい気持ちはありましたけど、今考えると、音楽をやったからって、モテるわけじゃないですね(笑)。

――そのとき同時に、演劇も始められたんですよね。そのきっかけは?

 僕が通っていた学校は、中高一貫だったんです。そんなこともあり、中1のときに、クラスの同級生が高3の先輩と一緒にお芝居をすることになったんです。それで僕も誘われて。なぜかウチの学校には演劇部がなくて、スタッフと役者が有志で集まって、校内で上演したんですが、どこか大学のサークルみたいな感じでした。文化祭のようなイベントのときだけでなく、なにもないときも多目的ホールみたいなところで上演していたんです。

――ちなみに、当時はミュージシャンと俳優、どちらに憧れていたとか覚えていますか?

 どうなんでしょう? 小学校の卒業文集には、なりたい職業の欄に“柄本明”と書いてましたけど(笑)。バラエティ番組で、柄本明さんが志村けんさんとコントやられているのを見るのがとても好きだったんですが、職業ではないですよね(笑)。

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2013.06.07(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Asami Enomoto