等身大の田代万里生が見られる、新作ミュージカル

――不思議なことに、これまで映画やドラマなど、映像のお仕事はほとんどされていませんが、その理由は?

 ずっと舞台で育っているので、映像のお仕事をするという概念がなかったんです。今年「女優 麗子~炎のように」というドラマに、森進一さん役で出していただいたのですが、それは僕がイブ・モンタンを演じた「ピアフ」という舞台を見たプロデューサーの方が声をかけてくださったんです。大原麗子さんと森さんとの関係が、エディット・ピアフとイブ・モンタンの関係と似ているということで……。最近はお芝居のワークショップにも通っていますから、きっかけさえあれば、いろいろな作品に出てみたいです。「エスコルタ」をやったことで、自分を貫くことは大事だけど、知らない世界に飛び込んでいく勇気みたいなものも大事だな、って思ったんです。それがあるからこそ、今の自分があると思いますし。

――さて、このたび出演されるミュージカル「エニシング・ゴーズ」ではビリーという恋に暴走する男を演じられますが、どういう感触を得ていますか?

 この作品はコメディ・ミュージカルなんですけど、鹿賀(丈史)さんだったり、大澄(賢也)さんだったりが笑いを取るなか、僕の演じるビリーはいちばんスタンダードで、ロマンチックなキャラクターだと思います。出番も多く、ストーリー上の軸にもなっていますので、重要なポジションなんですね。だから……難しくて、大変です(笑)。あまり考えずに、素直に役と向き合おうと思っています。

――今回の舞台で、どんな新しい田代さんを見せられると思いますか?

 ビリーは年齢的にも、性格的にも、かなり等身大な役だと思うんです。意外と今まで、そういう役ってあまりなかったんですよ(笑)。それを大劇場で演じさせてもらえるわけで、そこで僕もどんな等身大の自分が出てくるか、とても楽しみですね。

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2013.09.20(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Tadashi Hosoda
hair&make-up:Yasuhiro Fujii(igloo)