香港発祥の茶餐廳(ツァツァンティン)。早朝から深夜まで営業する、カフェであり食堂でもあるお店のことで、メニューは、ワンタン麺や粥、点心やスイーツなど。香港ならではのミルクティーや、コーヒーと紅茶をミックスした鴛鴦茶(インヨンティー)もあって、ちょっとひと息つきたい時、また、ちょっとおなかがすいたという時に、気軽に立ち寄れるお店です。

 「日本では数少ない茶餐廳が神戸の中華街にできた」。そんな噂を聞いて訪ねた店は、南京町のメイン通りの一筋南の路地にありました。

左:朱赤でなく、ワインレッドの外観。
右:中国最新音楽C-POPが流れる店内。
壁に描かれているのは香港の地下鉄の路線図。

 「神戸の中華街・南京町は、いつのまにか観光客相手の屋台だらけになってしまった。もう一度、地元・神戸の人が訪れたくなるような魅力のある街にしようと、今までなかった香港スタイルの店を始めました」と神戸生まれの施蓮棠さん。

 亡き父親・施兆昌さんが始めた「群愛飯店」を兄弟で継ぎ、南京町店を営んでいましたが、病気で2年前に一旦閉店。兄が営んでいた店で働いていた、香港生まれの料理人・熊家強さんと一緒に、2015年10月、「群愛茶餐廳」をオープンしました。

施蓮棠さん。

 香港のシンボルマークや地下鉄の路線地図が描かれ、街や市場の写真が飾られた店内は、モダンでお洒落。接客は、施さんと奥様・惠仙さん、娘で店長の桂香さんが担当。気取りのないアットホームな雰囲気で、初めてでも寛げます。

2016.05.22(日)
文・撮影=そおだよおこ