雨の多い地域で、雨上がりの霧がかった山の風景は水墨画のよう。 初夏の新緑、山が色づく秋と季節ごとの美しさがある。 建築家・遠藤秀平さんは自然との調和を考えて設計。 赤錆により変化するコルゲート鋼板が特徴的な建築。詫び寂びの世界観を表す色合い、質感が山の景色に溶け込んでいる。 ゲストとの会話を楽しむ早川さん。 夜の15,000円のコースより。前菜の八寸は、天魚のコンフィ、チーズにブルーベリーのコンフィチュールをのせた玄珠もなかなど。器は土楽窯の福森雅武さんの作品。 馬瀬川の岩魚と天魚のお造り。2020年8月に閉店した横浜の料亭「隣花苑」から譲り受けた大正時代の京焼の器(河合卯之助作)を料理に合わせて使っている。 思い入れのある高山のすっぽんは、ゲストの前で七輪で焼いて供する。すっぽんの出汁は茶碗蒸しなどにも使われる。 ロビーと食事処はシームレスで繋がっている。冬は暖炉の火が灯る。 エグゼクティブツイン 1名37,950円(1室2名利用、2食付き)。天井高があり開放的な空間は地元の木材を贅沢に使っている。テレビはなくゆっくり休息をとってほしいと、寝巻きは上質なガーゼ素材。 土鍋で炊いたご飯の香りに心が満たされる朝食。 15の客室に面した廊下。日の入り方で表情が変わる。 海の向こうが和倉温泉、左手には富山の立山連峰を望む。 クエの出汁で身や内臓、白子を炊いた、クエのズッパ・ディ・ペッシェ。上品な旨みが大根やしいたけに滲みた豊かな美味しさ。最後は残ったスープでリゾットにする。 手打ちの“タリアテッレ 天然茸”。秋が旬の天然きのこの豊かな風味を凝縮した逸品。冬は裏山で原木栽培しているしいたけが美味しくなってくる。 国内に数軒しかない七面鳥の養鶏所が輪島市門前町にあり、そこで育った“阿岸の七面鳥”は、内臓を使うぺヴェラーダソースで。 平田シェフは2020年秋にオーベルジュをオープン。 レストラン前の海岸線。夕日が沈みゆく光景を静かに眺めて。 周辺に建物がなく鳥のさえずりが響き渡る自然豊かな場所。 レストラン横にはハーブや野菜などを育てているガーデンが。 差しがたっぷり注がれる宿泊のお部屋。椅子はレストランのものと揃えてあり、北欧テイストのインテリアが居心地いい。チェックインは16時。 寝具やタオルはオーガニック素材。 コースの半ばに出てくる“畑”。葉もの、花、店の庭で摘んだハーブなど、多彩な野菜に自家製ピクルスをアクセントにした奥行きのある味わい。 朝食は中能登町のベーカリー「月とピエロ」のパン・ド・ミ、約30種類の野菜を使ったミネストローネ、七面鳥の胸肉の自家製ハム、「能登ミルク」の生クリームを使った自家製ヨーグルトなど。りんご、さるなし(キウイの原種)などの自家製ジャムと一緒に。 七尾市中島町の湧水「藤瀬の霊水」が部屋に常備されている。 上空から見た「レヴォ」。森に囲まれた小さな集落なのが分かる。かつては廃村となっていた場所だ。 俯瞰した姿はまるでジオラマ。くねくね道の途中に小さな看板あり。 「COTTAGE 3」。49平米の客室に小ぶりなテラスも。昼は縁側から森の風景を楽しみ、夜は星空と川のせせらぎも堪能したい。置かれている簞笥などの家具もこの地にあった家に遺されていたものを修繕して息を吹き込んだ。 フロント前の絶景スペース。食事の時間になると奥の扉が開き、ステージの幕開け。右奥がフロント。 レストラン個室からの風景。眼下には利賀川の流れる渓谷が。 大きめのバスタブからの景色も贅沢。アメニティも天然素材のものが多く使われている。 サウナは本格的なフィンランド式。パワフルな薪ストーブでサウナストーンを熱し、水をかけてジュッと蒸気を上げる。 煙突から煙がのぼるサウナ棟。宿泊者は無料で利用できるが、1組45分ずつの予約制。リピーターには大人気で、宿泊予約時に押さえる人も多いそう。 厨房は席のすぐそばにある。開放的な空間に特注の薪窯や最新機器が同居する。ここが谷口シェフのステージだ。 シグニチャ―ワインは氷見市「セイズファーム」のもの。 “~prologue~”の4品。上から時計回りに、ヤギチーズのグジェール、白エビのタルト、L’évo鶏のレバーを挟んだビーツメレンゲ、八尾町のゴマ最中。 “~アオリイカ~”。細く切った氷見のアオリイカとマコモダケを細切りにし、落花生で和え、貝汁の泡でいただく。ゴマやアマランサスの花も香り立つ。 メイン“~イノシシ~”。隣の村で獲れたイノシシを薪火でじっくり焼く。農園の赤カブの豊かな甘みも一緒に味わいたい。ペアリングで登場するのは意外や白。セイズファームの特別な区画で作られるシャルドネは薪の香ばしさと合う。器は釋永岳のもの。 “~月ノ輪熊~”。あえて冬眠明けで脂の落ちたクマの赤身を使い、ほうれん草と和えてさっぱりと。ハチミツとエゴマの葉を加えたクマのコンソメジュレをかける。様々な食感と旨みを堪能。 “~スッポン~”。存在感のあるshimoo designの木皿で。手足、エンガワ、月ノ輪熊の脂を合わせ、血とショコラのソースで。つまり“月とスッポン”だ。 “~大門素麵~”も富山の名産。半生麵をアルデンテに茹で、ヤギチーズのスープに浮かべる。フキノトウのオイルが春を予感させる。 記事を読む