Column：週末の旅は本屋さん

幸せな本の街の、街の本屋さん　
西荻窪・今野書店

CULTURE

2013.11.16

幸せな本の街、西荻

「特別なことはしていない」「普通にベストセラーも売れますよ」という水越さんだが、ときどき西荻らしい本、この街だから売れる本があるという。出版関係の本や「本の本」が売れるのも、古本屋さんも多く、作家や編集者など出版関係者も多く住む西荻ならでは。内堀弘さんの『古本の時間』は、今までかなりの冊数を売っているという。最近発売になった、『西荻窪の古本屋さん』と並べて一番いい場所に積んでいた。

普通に仕入れた中でもコンスタントに売れていく本に気付く。そのようにしてお客様から教えられて発見した「売れる本」が、売り場の特徴になる。特徴的な本を少しずつ売り場に反映させていくことで、基本を押さえながら発見がある売り場になるんだろうなと思う。普通の商店街に見えて、時々「これは！」という発見のある、西荻の街のような売り場だ。

『西荻窪の古本屋さん』。今野書店さんからも近い古本屋さん音羽館の店主、広瀬洋一さんの著書

取材時には、地元西荻に住む歌人、穂村弘さんのサイン本が並んでいた。「昨日ふらっと立ち寄られて、サインしていただいたんですよ」とのこと

西荻では、西荻ブックマーク（公式サイト）という本のイベントが定期的に行われている(今野書店さんにもチラシを置いていた)。テーマは文学、評論、自然観察や町歩き、読み聞かせなど多岐にわたり、著者、編集者、新刊書店、古書店、図書館など、本に関わるいろいろな人が、西荻という場で繋がっている。幸せな本の街・西荻。ゆっくり時間をとって、路地裏で迷子になりたい。

水越麻由子さん。オススメ本『ゴーン・ガール』とともに、担当する文芸書の前で

【CREA WEB読者にオススメ】
水越さんのオススメは、ギリアン・フリンさんの『ゴーン・ガール』(小学館文庫)。

行方不明になった妻、妻を探す夫双方からの視点で描かれる力作ミステリー。それぞれの言ってることが食い違い、真実がどこにあるかわからない。ミステリーとして、心理サスペンスとしてすぐれているだけでなく、ご自身も結婚しているという水越さん、「夫がこんな風に思っているんだ」という発見が面白いとのこと……って、この作品、私もオススメされたので読んでみましたが、「虚栄、嫉妬、裏切り、復讐、憎悪、そして嘘」(上巻の帯より)……水越さん、ちょっと怖いです……。

今野書店
住所東京都杉並区西荻北3-1-8
営業時間平日・土 10:00～24:00 日・祝 10:00～23:00
定休日無休
URL www.konnoshoten.com