新型コロナウイルス、度重なる自然災害、未来に不安さえ感じた日々。

 私たちは何をすべきなのか? これからどこへ向かえばいいのか? 答えは大自然が教えてくれるはず。

 地球の営みに触れるべく島根県・隠岐諸島と北海道・十勝に。3回に渡り、島根の島々と北海道の絶景とホテルをご紹介。


「地球に、ぽつん」の遠い島で静と動の両方を楽しむ

◆Entô(エントウ)

 大山隠岐国立公園、隠岐ユネスコ世界ジオパークに指定される島前・中ノ島 海士町に2021年7月、日本で唯一の泊まれるジオパーク拠点施設「エントウ」がオープンした。

 漢字で書くと「遠島」、遠く離れた島という以外に、縁のある島、遠い灯という意味も込められている。コンセプトは“Honest”と“Seamless”。

 丸裸の地球やありのままの島の営みに触れ、部屋では日常を忘れて目前に広がる自然に溶け込み、頭を空っぽにして過ごして欲しいとの想いから。

 間口が広くて奥行きが浅い横長の客室は、窓の向こうに広がる島前カルデラの一部だと感じられるよう、余計なものを削ぎ落とした結果。ただただ自然と向き合う、何もしない時間を過ごすことができる。

 さらに、島の風景に溶け込み、島民の集う場であることも目指すホテルは、島の人々との境界線も解き放ってくれる。

「中庭で、島の人々と焚き火を囲んで飲み物を片手に語り合う焚き火イベントは好評です」(池内亮太さん/エントウPR担当)

 一方、展示室 ジオルーム“ディスカバー”で地球と隠岐の成り立ち、島前3島の魅力を予習し、答えを探しに島のフィールドに出る体験にも心躍る。

 ジオパークのスタッフとホテル周囲を歩きながら解説を聞くエントウ・ウォークも楽しい。

 島の成り立ちを知るほどに地元の食材にも興味が増して食事がより味わい深くなる。静と動の両方が得られるのはホテルの最大の魅力だ。

 地球の物語を知り、大地と繫がる遠い島への旅は、地球に生きているんだという実感が湧いてくる、自分を取り戻す旅になる。旅が終わるころ、海士町のコンセプト“ないものはない”が素直に心に響いてくる。

Entô(エントウ)

所在地 島根県隠岐郡海士町福井1375-1
電話番号 08514-2-1000
客室数 Entô Annex NEST(別館) 18室、Entô BASE(本館) 18室
料金(1名) NEST DX 33,880円(1室2名利用、2食付き、入湯税別)
https://ento-oki.jp/

Feature

大自然の中に佇み
地球の営みに触れる旅へ

Text=Motoko Saito
Photographs=Atsushi Hashimoto