碁石海岸を海から眺めるツアーに参加してみた!

 今から約1億3000万年前に海底で堆積した、泥や砂の層の頁岩(けつがん)と砂岩が積み重なった地層が隆起しました。

 頁岩はその名のとおり、本のページのようにはがれやすく、もろい性質。そのため頁岩の層の境や割れ目のところで波や風雨の浸食を受けやすく、やがて時を経て、今の姿になったのです。

 そんないくつかの地形の見どころを、「碁石八景」と呼んでいます。

 碁石海岸インフォメーションセンターを起点とした遊歩道からも、風光明媚な碁石八景は眺められますが、やはり6~11月に運航している「碁石海岸穴通船」がおすすめ。地元の漁師さんが小舟を操りながら、景観の説明をしてくれます。

 ボートが出港するのは、「碁石浜」近くの桟橋。碁石浜は黒い玉砂利を見ることができる浜で、しゃらしゃらと石が波に洗われる音が規則的に繰り返しています。伊達藩のお殿様に碁石として献上されたのが、名前の由来との説も。地元の子供たちも遊ぶ、のどかな浜です。

 そんな碁石浜を横目に見ながら、大和田初男さんの単気筒のボートに乗船し、碁石海岸を海から眺めるツアーに出発です。

 松林を乗せた「碁石岬」を回り込むと、ワイルドな断崖や洞穴が続く、地形ワールドへ。

 6月半ばからウミネコの繁殖地となる「巾着岩」は、鳥たちのフンで天辺が白く染まっています。初夏にはヒナ鳥を見かけるようになるそう。

 頭上には大船渡の市の鳥であるウミネコなど海鳥たちが飛び交いますが、大和田さんが見つけるたびに嬉しそうに教えてくれるのは、タカ目ミサゴ科のミサゴ。翼を伸ばすと大きく、優雅さを持ちつつも、なによりタカの仲間ゆえに勇ましさを感じます。

2021.05.08(土)
文・撮影=古関千恵子