州宝を見に、カメハメハ4世の妻・エマ王妃の宮殿へ

 木質はとても硬く、加工も大変難しいと言われるコアを使った工芸品を、オアフ島の小さな町工場のような工房で毎日毎日作る作業はとても地味です。丁寧に作っているだけに、ラッカーなどを使用せず、やすりをかける作業、磨き上げる作業にも莫大な時間がかかります。ほこりっぽい部屋に、失敗の許されないストレス……それって大丈夫なんですか? と思ってしまいます。

 でも、チャールズさんにとってこの作業は、大好きなこと! それと、将来の家宝を作っているという自負があるんです。コアの模様はこの世にひとつしかないもの、それを加工して、裏に「デレラス・バイ・チャールズ・ドミンゲス」というサインを入れて完成させたら、世界に1つだけのジュエリー・ボックスが出来上がる。デレラスのジュエリー・ボックスは一生で終わらない、そのあと、子供に、孫にと受け継いでいってもらえる品質です。そのうえ永久保証していますから、製作上の理由で壊れた場合は無償で修理してくれます。

 すばらしいといわれるコア製品は世代を越えて愛されるもの。だから、チャールズさんは、スペシャリティと言われているジュエリーボックス以外にも、注文を受けての家具製作や、アンティークコアの家具の修理なども精力的に行っています。昔の職人の作品から学ぶことは多いといいます。時間にも生活にもゆとりがあったであろう頃の作品は、やはり文句なしに素晴らしく、ハワイ王朝ゆかりの家具などは芸術作品の域だそう。

パリ・ハイウェイの途中、ヌウアヌ地区にあるクイーン・エマ・サマーパレス

 チャールズさんにとっていちばん好きな作品は、カメハメハ4世の妻であったエマ王妃が夏を過ごした宮殿・クイーン・エマ・サマーパレスにある、ゆりかご。王と王妃がアルバート王子誕生の際に、ドイツ人のウィルヘルム・フィッシャーに注文して設計、製作された州宝で、ハワイ原産の4種の木材、コア、コウ、ミロ、カマニが使われています。クイーン・エマ・サマーパレスは小さな博物館といった趣で、私自身もなかなか訪れ難かった場所。でもチャールズさんのお話を聞いたあとに、この州宝のゆりかごを見たら、精密な設計はもちろん、ハワイ原産の木が生きていると感じるほどの精巧なデザインで驚きました。新しい発見でした。ここは一度は行くべき場所です。

若くして亡くなったアルバート王子を偲ぶゆりかご。ぜひ現物を見てハワイが王国だった頃に想いを馳せてほしい

 私と同年代のチャールズさん。きっと同じくらい生きて行くだろうけど、ジュエリー・ボックスは家宝にします。

Dellera's Woodworks (デレラス・ウッドワークス)
住所 749 Kopke St. Honolulu, HI 96817, U.S.A.
電話番号 +1-808-848-5559
営業時間 月曜—金曜 8:00-16:00【土曜日は予約制。木工所の見学も可能で、ショールームで卸価格で作品の購入ができる。マーティン&マッカーサー、ノヘア・ギャラリーでもチャールズさんの作品は購入可能。感謝祭(11月第4木曜日)の週末と次の週末はクリスマスセールを開催】
定休日 日曜
URL www.delleraswoodworks.com

Queen Emma Summer Palace – Hanaiakamalama- (エマ王妃夏の宮殿)
住所 2913 Pali Hwy. Honolulu, HI 96817, U.S.A.
電話番号 +1-808-595-3167
営業時間 毎日 9:00-16:00 (15:30最終入館)
入場料 10ドル(ガイド付き)、8ドル(ガイドなし)

工藤まや (くどう まや)
雑誌、TV、CMなどのメディアコーディネーター。ハワイ在住13年目。
アメリカ人の夫と愛犬2匹と虹の町マノアに暮らす。
CREA WEBで「おもてなしハワイ」を連載中。近著に山下マヌー氏との共著『かわいいハワイ』(マーブルトロン)

協力:ハワイ州政府観光局
公式サイト www.gohawaii.jp
Facebook www.facebook.com/discover.aloha

Column

4つの島の個性を知る旅。もっと行きたくなるハワイ【オアフ島】

ハワイ在住13年目でオアフ島マノアに住むメディアコーディネーターの工藤まやさんが、オアフ島の文化、おいしいもの、自然を満喫できるアクティビティーなどを紹介します。

2012.10.09(火)